復活

某所から楽器を大量に持ち込む。一覧を後の為に作っておくけれど、

  • Fender Telecaster American Standard(初期型らしく、フレット数は通常のテレと一緒)
  • Tokai Strat(知人から二束三文で買ったものだが、恐ろしく鳴りが良い)
  • Fender Jazzbass(75年モデルのレプリカ。パーツは US。)
  • Fender Jassbass(62年モデルのレプリカ。高校時代にマクドナルドでバイトして買ったもの)
  • YAMAHA FG-152(これも木が乾いて鳴りが良い。ブリッジを牛骨に交換、ピエゾを着けてある)
  • Takamine PT-010-12(12弦エレアコ。これもエレアコの割には鳴るのと、ネックの状態が素晴しくよろしい)
  • ギグパッカー(エレガットとして使用)
……と、こんな感じである。これからやることは、
  • エレキ系とギグパッカーは掃除、接点磨き
  • 62年レプリカのジャズベはネック調整
  • FG-152 はブリッジをもうあと少しだけ低めに
  • ペグとフレットは全て磨く
とまあこんなところか。

あとはエフェクトだ。

  • BOSS SE-50
  • KORG Toneworks AX10G
  • BOSS CE-3
  • Electro Harmonix Small Stone のレプリカ(自作)
……うーむ。ワウと歪み系がねえ。前は VOX を使っていたんだが。どちらも回路は当然自作するので、要するにワウの箱がありゃいいわけだ。ギャレットで買ってもいいんだが安くないし。悩むところだ。

IP2 その後

初めてのカナル型イヤホンとして AKG IP2 を買って、エイジングがようやく終わって、本腰を入れて使い始めた。

それにしても、カナル型イヤホンというのは難しい。パッドと耳道のフィット具合で低音の感じががらっと変わってしまう。要するに、密閉度が高い程低音が出易いということなのだろうけれど、この塩梅が本当に面倒なのだ。

IP2 には3種類のパッドが付属しているのだが、僕の場合、中位のサイズでは低音がややプア、大きいサイズでは低音が出過ぎ、という感じである。耳が衰えるのが怖いので、今は中位のサイズのものを使っているのだが、中と大の間というのがあれば、ぜひ試してみたいところである。あと、これから予想され得るところだけど、耳をちゃんと掃除していないとダメダメな状態になるわけで、これも問題なのである。

しかしなあ。こうもナーヴァスだとは思わなかった。どうせ世間の大半の人々は低音ボッコボコなのをよしとしているんだろうけれど。ロック好きでも、そういうのは我慢ならないのだ。いや他人のことは知りませんけれどね。自分では、そんなジャンクフードみたいな音は御免被る。

AKG IP2

長い間使っていた AKG のイヤホンのケーブルが切れた。リッツ線なので、修理するにも問題がある。それに、こういうものに目がないうちのニャントロ人に噛まれて、ネットに凹みがあったりもしたので、この機会に機種更新をしようと思ったのだった。

しかし、今の時点で、いわゆるインナーイヤー型の従来機種で音質の良いものは、ほとんど入手できなくなってしまった。僕はこの手の商品で、低音がブーミーなものがどうしても使えないのだ。そういう意味で、ディスコンになった AKG 312Pがない今、ほとんど絶望的な気分になっていたのだった。

カナル型で一番期待できそうなのは、SONY のMDR-EX800STなのだけど、いかんせん価格が価格で、どうしたものかなあ……と思っていたところに、AKG IP2 の存在を知ったのだった。もう、これが駄目なら MDR-EX800ST 買うしかない……と思って、サウンドハウスでこれを買ったのだった。

エイジングが進むまでは、悪しきドンシャリの音だったのだが、睡眠時間を丸々エイジングに費したこと数日……ようやく f 特がまとまってきた。分解能は高いし、いわゆるアーマチュア型のように、本質的に狭い帯域を無理矢理マルチ化した結果ダメダメになっているようなこともない。ただし、イヤーパッドと耳道のフィッティングによって低域が全然違った感じになってしまう。大きいイヤーパッドだと低域がやや出過ぎる感じだし、中位のだとやや低域が弱い(僕が言うんだから本当に弱いんだろう)。この辺りが難しいところだ。

ちなみに、この IP2 のドライバーユニットはフォスター電機(あの FOSTEX の製造元である)の OEM らしい。こういう製品がなくなると、本当に困るのである……ぜひとも、もうしばらくは供給を継続していただきたい。切にそう願うのである。

デジタルリマスタリング

デジタルリマスタリングの話は、正直言ってあまり書きたくない。世間で(特に一部の愚かな山下達郎ファンの間で、ね)誤解されていることなのだが、デジタルリマスタリングをするのは、音を良くするためではない。音の夾雑物を除き、ダイナミックレンジや EQ を整えるために過ぎない。

ちょっと考えてもらえば分かると思うのだけれど、処理前より処理後の方が情報量が増えるはずがない。処理を行えば、情報量は減る。これはこの世の理なのであって、デジタルだろうがアナログだろうが、この事実を引っくり返すことはできない。ただし、高分解能でデジタルに変換した情報は、任意の情報を、他の情報に対して影響を最小限に留めるように間引くことができる。だから、ノイズを減らしたり、音圧を上げたりすることがより効果的にできる、というだけのことだ。だから、デジタルリマスタリングは「修正」技術に過ぎないし、ましてやそうやって修正した音源でも、FM で放送されたら、その瞬間に 15 kHz から上の情報は削られる。だから、山下達郎が手持ちのレコードからデジタルリマスタリングした音源を、たとえば Rhino が reissue した CD の音源より有り難がる輩が存在する、という、この理由が僕にはとんと分からぬ。このことに関しては山下氏も何度かコメントしていると思うのだけど。

僕がデジタルリマスタリングを行うのは、主に以下に示す3つの音源の場合である。

  • 自分で制作した音源
  • CD に収録されていたもので、あまりにマスタリングが酷い音源
  • CD 以外のメディアに収録されていた音源
僕は、音楽は基本的には WAV フォーマットで iPod に入れ、ヘッドフォンで聞くのだけれど、iPod に音源を入れる前に、これらの音源の場合にはごちゃごちゃと作業をすることになる。

最初の場合は、これはリマスタリングではなくてマスタリングである……僕の場合は Steinberg Cubase で録音を行っていて、マスタリングはミックスダウンと不可分に行われることが多いのだけど、トータルエフェクトを集中して吟味したいときには、一度高分解能で出力したファイルを再度 Cubase に読み込み、マスタリングの続きを行って仕上げる。具体的に何をどういじっているかというと、

  • EQ
  • コンプ
  • リミッティング
の3つである。

基本的には、後で EQ を調節しなければならないようなミックスダウンはしないのだけど、もし必要なときは、Cubase 付属の4帯域のパラメトリック EQ を使うことが多い。この Cubase の EQ はフィルタの効きが鋭いので、エフェクトとして使うときにも、このようなトータルエフェクトのときにも重宝している。これではちょっと、アウトボードっぽくなくて作業しづらい、というときは、昔清水の舞台から飛び降りる覚悟で買った SONNOX Oxford とか WAVES SSL 4000 Collection Native とかを使うことになる。

トータルコンプとリミッターで行うのは、いわゆる「音圧を上げる」作業である。これに関しては、僕の場合はかなり控え目にしているつもりだ。音圧なんてのは、潰して持ち上げようと思ったらどうとでもなるのだけど、いくらロックでもあまり潰れていたら台無しである。それに、自分の音源だったら、潰す必要のあるものはミックスの段階で潰している(スネアとかね)ので、トータルで補正する必要はあまりない。むしろ、レベル合わせに相当する作業で、ああでもないこうでもない、と悩むことになるわけだが、まあここではそういう作業をするわけだ。ちなみにこの作業は、今は専ら Oxford Dynamics Native で行っている。

最終的な作業が終わったら、iPod に突っ込めるようにフォーマットを整える。僕の場合、44.1 kHz / 16 bit で出すことが多い。別に 96 kHz でも 32bit float でも出せるんだけど、僕の持っている iPod(いわゆる第五世代)はあまり妙なフォーマットだと読めない。読めないとどうなるか、というと、読み込みかけたところで再起動がかかるので、HDD を壊すのが怖くって、ちょっとあまり冒険したいとは思えない。

というわけで、自分の音源だったらこれでよろしい。では、CD を買ったけれどあまりに音源が酷い、というときにはどうするか、というと、基本的には上と同じプロセスである。ただし、アナログの劣化した音がそのままデジタル化されていて、さすがにこれはちょっと……と思う場合のために、Nomad Factory BBE Sound Sonic Sweet に収録されている D82 Sonic Maximizer を使うことがある。これはもう、本当に、軽ーく当てるだけなのだけど、うまくいくときには本当に効果的な音源補正をしてくれる。まあエキサイターの一種として考えれば、存在しない音域をある法則に従って足している、とも言えるのだけど、これも決して情報を増やしているわけではない。あくまでも補正である。

そして、CD 以外のメディアに収録されていた音源……というと、まず最初に問題になるのが SACD である。SACD の録音フォーマットは PCM ではなく、ΔΣ変調 を用いた 1 bit / 2.8224 MHz サンプリングである。だから、iPod に入れる際には何らかの方法で PCM に変換しなければならない。困ったことに、僕は SACD は持っていてもプレイヤーを持っていない。以前、某所で、自分の所有する音源を rip させてもらった(SACD のプロテクトはもう破られてしまっているので)のだが、これも何らかのソフトで変換する必要がある。

この変換には、みんな大好き foobar2000 を使っている。ほとんどの場合、これ以上の処理は必要にならないのだけど、ごくたまに、高分解能の WAV に落とした後で、Cubase でディザリングをかけて再度 16 bit / 44.1 kHz サンプリングに変換したりすることもある。

そして、それ以外の場合……ようやくここまできた。これの話を書きたくて、延々ここまで説明をしてきたのである。実は最近、今迄入れていなかった The Police の音源を iPod に入れることにしたのだが、どうしても入れたい音源があった。これがちょっと問題ありの音源で、色々とバタバタやっていたのである。

この音源というのが、1978年10月2日、BBC の音楽番組 "The Old Grey Whistle Test" に The Police が出演したときのスタジオライブ音源である。この伝説的な番組で、The Police は "Can't Stand Losing You" と "Next to You" の2曲を演奏しているのだけど、これが実に演奏がいい。まだ彼等が戦略としてパンク色を濃く出していた頃の演奏なのだけど、正直言ってスタジオテイクよりも演奏はこちらの方がいいかもしれない、とすら思える。

これを Youtube で耳にしてから、何としても、少しでもいい音で聴きたい、と思って、あちこち探したのだけど、"The Old Grey Whistle Test" の CD や DVD には "Can't Stand Losing You" だけしか収録されていない。うーん……ああそうか、とThe Police が出していたビデオや DVD をあたったら、そちらには二曲とも収録されている、ということで、”Every Breath You Take”という DVD を入手したのであった。

彼等のビデオクリップ(と言うよりフィルムと言った方がいいのだろうか)などには目もくれず、ISO マウントした DVD の中から、"The Old Grey Whistle Test" の映像のファイルを抜き出して、そこから音声だけを WAV フォーマットで吸い上げた。まずは FFT(高速フーリエ変換)でスペクトルをチェックすると……このようになる:FFT-result.pngあー、なるほど。これはいわゆる Hi-Fi でないビデオ由来の音源の典型だ。高域は 11 kHz 辺りからカットされていて、15.75 kHz にノイズが乗っている(これは水平走査の信号が音声にクロストークしているものと思われる)。当然だが、音声はモノラルである。

まあ、とりあえずノーマライズ(ダイナミックレンジを合わせる作業)をしてから、BBE で音を修正して……おそらく放送媒体では、送出時に歪まないように結構がっつりとリミッティングしていると思われるので、コンプはかけず、甚だしく飛び出しているところだけをリミッターで抑えて、16 bit / 44.1 kHz サンプリングで出力する。これを iTunes 経由(最近は GNUPod で Linux から放り込むケースもあるのだが)で iPod に放り込めば、作業は終了である。

それにしても……世間では配信サイトから MP3 でダウンロードしてきて聴く、というのが一般的になっているんだろうに、こういうことをしているのはアナクロなのだろうか。でも、MP3 等の圧縮フォーマットは音楽を無惨に変質させてしまう(ハイハットやシンバル、そして残響をチェックしたらすぐにバレてしまう)。だから、結局はこういうことをしないと、音楽を聴いても憩いにならないのである。つくづく損な性分だと思うけれど、仕方のないことである。

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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