「秘すれば花」も通じない?

「秘すれば花」という言葉がある。この言葉は好きな言葉で、世阿弥の言葉だというのは頭に入っていたのだけれど、全文はどんなんだったかなあ、と思いつつ、検索をかけてみて、日本人の国語能力に絶望しそうになってしまった。

「秘すれば花」というのは、世阿弥が著した『風姿花伝』にある言葉で、その全文は、

秘すれば花なり秘せずは花なるべからず
である。この意味は、非常に深く重いものなので、もしご存知ない方がおられたらご自身でお考えいただきたい(その結果は、皆さんの生き方に必ず影響を与えるものになるはずである)。どうしても分からないという方は、『秘すれば花』というそのものずばりの題名の本を渡辺淳一が出している(現在は講談社文庫に収録されている……僕は彼の今の小説は大嫌いなのだが、彼の初期の歴史小説には上質なものが多いし、この言葉に対する渡辺の解説も――『プレジデント』での連載をまとめたものなので、やたらビジネス絡みに話を持っていこうとする傾向があるのは仕方ないのだが――そう悪くないと思う)。

で、だ。この言葉自体はいい。しかし、最近は各ポータルサイトで、ユーザの質問をユーザが答えるような場所があって、そこでの問答なども検索にひっかかってくる。その中に、これぁないだろう、というようなものを見つけてしまった。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1011264840?fr=rcmd_chie_detail

いや、これはひどい。ひどすぎる。世阿弥が化けて出てきそうな程にひどい。これを見て、今日はすっかり気分が悪くなってしまった。

2009/07/29(Wed) 17:37:48 | 日記
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T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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