預言者たち

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(編者註:)イザヤ書29章は、欽定訳でみると、

Woe to Ariel, to Ariel, the city where David dwelt! add ye year to year; let them kill sacrifices.
Isaiah 29:1

という感じで始まる。これを重厚かつ朗々と朗読するのを想像すると……なるほど、と思えなくもないかな。

イザヤの召命

ウジヤ王が死んだ年のことである。
わたしは、高く天にある御座に主が座しておられるのを見た。衣の裾は神殿いっぱいに広がっていた。上の方にはセラフィムがいて、それぞれ六つの翼を持ち、二つをもって顔を覆い、二つをもって足を覆い、二つをもって飛び交っていた。彼らは互いに呼び交わし、唱えた。
「聖なる、聖なる、聖なる万軍の主。
主の栄光は、地をすべて覆う。」
この呼び交わす声によって、神殿の入り口の敷居は揺れ動き、神殿は煙に満たされた。わたしは言った。
「災いだ。わたしは滅ぼされる。
わたしは汚れた唇の者。
汚れた唇の民の中に住む者。
しかも、わたしの目は
    王なる万軍の主を仰ぎ見た。」
イザヤ 6:1-5
インマヌエル預言

ユダの王ウジヤの孫であり、ヨタムの子であるアハズの治世のことである。アラムの王レツィンとレマルヤの子、イスラエルの王ペカが、エルサレムを攻めるため上って来たが、攻撃を仕掛けることはできなかった。
イザヤ 7:1
それゆえ、わたしの主が御自ら
    あなたたちにしるしを与えられる。
見よ、おとめが身ごもって、男の子を産み
その名をインマヌエルと呼ぶ。
災いを退け、幸いを選ぶことを知るようになるまで
彼は凝乳と蜂蜜を食べ物とする。
その子が災いを退け、幸いを選ぶことを知る前に、あなたの恐れる二人の王の領土は必ず捨てられる。
イザヤ 7:14-16

(編者註:)ここはややこしいので補足。アラムというのはダマスコ = ダマスカス、つまりシリアのこと。エフライムというのはイスラエルのことね。イザヤはユダの王アハズのところに赴いて、上の預言を伝えたわけ。

その日が来れば
主は口笛を吹いて
    エジプトの川の果てから蠅を
アッシリアの地から蜂を呼ばれる。
イザヤ 7:18
And it shall come to pass in that day, that the LORD shall hiss for the fly that is in the uttermost part of the rivers of Egypt, and for the bee that is in the land of Assyria.
Isaiah 7:18
見よ、主の日が来る
残忍な、怒りと憤りの日が。
大地を荒廃させ
そこから罪人を絶つために。
イザヤ 13:9
幼子たちは彼らの目の前で打ち砕かれ
どの家も強奪され、女たちは辱められる。
イザヤ 13:16
主はすべての国に向かって憤りを発し
怒りは、その全軍に及ぶ。
主は絶滅することを定め
彼らを屠るために渡された。
刺し貫かれた人々は投げ捨てられ
死骸は悪臭を放ち
山々はその血によって溶ける。
イザヤ 34:2-3

(編者註:)ここには原著を見ると引用箇所があるのだが、訳本にはない。原著から訳・引用しておく。

エジプトに対する悲観的な預言をドラマティックなものにするために、神さまはイザヤを裸で三年間歩かせる。 ――イザヤ 20:2-4

それに先立って、主はアモツの子イザヤを通して、命じられた。
「腰から粗布を取り去り、足から履物を脱いで歩け。」
彼はそのとおりにして、裸、はだしで歩き回った。
主は言われた。
「わたしの僕イザヤが、エジプトとクシュに対するしるしと前兆として、裸、はだしで三年間歩き回ったように、アッシリアの王は、エジプトの捕虜とクシュの捕囚を引いて行く。若者も老人も、裸、はだしで、尻をあらわし、エジプトの恥をさらしつつ行く。
彼らは自分たちの望みをかけていたクシュのゆえに、誇りとしていたエジプトのゆえに、恐れと恥をこうむるであろう。」
イザヤ 20:2-5
あなたの死者が命を得
わたしのしかばねが立ち上がりますように。
塵の中に住まう者よ、目を覚ませ、喜び歌え。
あなたの送られる露は光の露。
あなたは死霊の地にそれを降らせられます。
イザヤ 26:19
野の獣、山犬や駝鳥もわたしをあがめる。
荒れ野に水を、砂漠に大河を流れさせ
わたしの選んだ民に水を飲ませるからだ。

わたしはこの民をわたしのために造った。
彼らはわたしの栄誉を語らねばならない。
イザヤ 43:20-21
地の果てのすべての人々よ
わたしを仰いで、救いを得よ。
わたしは神、ほかにはいない。
わたしは自分にかけて誓う。
わたしの口から恵みの言葉が出されたならば
その言葉は決して取り消されない。
わたしの前に、すべての膝はかがみ
すべての舌は誓いを立て
イザヤ 45:22-23
こう言われる。
わたしはあなたを僕として
ヤコブの諸部族を立ち上がらせ
イスラエルの残りの者を連れ帰らせる。
だがそれにもまして
わたしはあなたを国々の光とし
わたしの救いを地の果てまで、もたらす者とする。
イザヤ 49:6
シオンは言う。
主はわたしを見捨てられた
わたしの主はわたしを忘れられた、と。
女が自分の乳飲み子を忘れるであろうか。
母親が自分の産んだ子を憐れまないであろうか。
たとえ、女たちが忘れようとも
わたしがあなたを忘れることは決してない。
イザヤ 49:14-15

(編者註:)ここでの主張はさておき、原著にはこんな引用箇所はないんですけど。

お前たち、主を捨て、わたしの聖なる山を忘れ
禍福の神に食卓を調え
運命の神に混ぜ合わせた酒を注ぐ者よ。
わたしはお前たちを剣に渡す。
お前たちは皆、倒され屠られる。
呼んでも答えず、語りかけても聞かず
わたしの目に悪とされることを行い
わたしの喜ばないことを選んだからである。
イザヤ 65:11-12
わたし自身がお前の着物の裾を顔まで上げ
お前の恥はあらわになった。
エレミヤ 13:26
見よ、わたしはお前に立ち向かうと
万軍の主は言われる。
わたしは、お前の裾を顔の上まで上げ
諸国の民にお前の裸を
もろもろの王国にお前の恥を見せる。
ナホム 3:5
わたしは、災いが速やかに来るよう
    あなたに求めたことはありません。
痛手の日を望んだこともありません。
あなたはよくご存じです。
わたしの唇から出たことは
あなたの御前にあります。
エレミヤ 17:16
わたしを迫害する者が辱めを受け
わたしは辱めを受けないようにしてください。
彼らを恐れさせ
わたしを恐れさせないでください。
災いの日を彼らに臨ませ
彼らをどこまでも打ち砕いてください。
エレミヤ 17:18
「主はわたしにこう言われる。軛の横木と綱を作って、あなたの首にはめよ。
エレミヤ 27:2
ユダの王ゼデキヤにも、わたしは同じような言葉をすべて語った。
「首を差し出して、バビロンの王の軛を負い、彼とその民に仕えよ。そうすれば命を保つことができる。どうして、あなたもあなたの民も、剣、飢饉、疫病などで死んでよいであろうか。主がバビロンの王に仕えようとしない国に宣言されたように、バビロンの王に仕えるな、と言っている預言者たちの言葉に従ってはならない。彼らはあなたたちに偽りの預言をしているのだ。主は言われる。わたしは彼らを派遣していないのに、彼らはわたしの名を使って偽りの預言をしている。彼らに従うならば、わたしはあなたたちを追い払い、あなたたちとあなたたちに預言している預言者を滅ぼす。」
エレミヤ 27:12-15
すると預言者ハナンヤは、預言者エレミヤの首から軛をはずして打ち砕いた。そして、ハナンヤは民すべての前で言った。
「主はこう言われる。わたしはこのように、二年のうちに、あらゆる国々の首にはめられているバビロンの王ネブカドネツァルの軛を打ち砕く。」
そこで、預言者エレミヤは立ち去った。
エレミヤ 28:10-11
更に、預言者エレミヤは、預言者ハナンヤに言った。
「ハナンヤよ、よく聞け。主はお前を遣わされていない。お前はこの民を安心させようとしているが、それは偽りだ。それゆえ、主はこう言われる。『わたしはお前を地の面から追い払う』と。お前は今年のうちに死ぬ。主に逆らって語ったからだ。」
預言者ハナンヤは、その年の七月に死んだ。
エレミヤ 28:15-17
主が課せられた務めを
    おろそかにする者は呪われよ。
主の剣をとどめて
    流血を避ける者は呪われよ。
エレミヤ 48:10
エルサレムの陥落と捕囚

ゼデキヤは二十一歳で王となり、十一年間エルサレムで王位にあった。その母は名をハムタルといい、リブナ出身のイルメヤの娘であった。彼はヨヤキムが行ったように、主の目に悪とされることをことごとく行った。エルサレムとユダは主の怒りによってこのような事態になり、ついにその御前から投げ捨てられることになった。ゼデキヤはバビロンの王に反旗を翻した。
ゼデキヤの治世、第九年十月十日に、バビロンの王ネブカドレツァルは全軍を率いてエルサレムに到着し、陣を敷き、周りに堡塁を築いた。都は包囲され、ゼデキヤ王の第十一年に至った。四月九日に、都の中で飢えが厳しくなり、国の民の食糧が尽き、都の一角が破られた。戦士たちは皆逃げ出した。彼らは夜中に、カルデア人が都を取り巻いていたが、王の園に近い二つの城壁の間にある門を通って都を出、アラバへ向かって行った。カルデア軍は王の後を追い、エリコの荒れ地でゼデキヤに追いついた。王の軍隊はすべて王を離れ去ってちりぢりになった。王は捕らえられ、ハマト地方のリブラにいるバビロンの王のもとに連れて行かれ、裁きを受けた。バビロンの王は、ゼデキヤの目の前で彼の王子たちを殺し、また、ユダの将軍たちもすべてリブラで殺した。その上で、バビロンの王はゼデキヤの両眼をつぶし、青銅の足枷をはめ、彼をバビロンに連れて行き、死ぬまで牢獄に閉じ込めておいた。
五月十日、バビロンの王ネブカドレツァルの第十九年のこと、バビロンの王の側近である親衛隊の長ネブザルアダンがエルサレムに来て、主の神殿、王宮、エルサレムの家屋をすべて焼き払った。大いなる家屋もすべて、火を放って焼き払った。また、親衛隊の長と共に来たカルデア人は、軍をあげてエルサレムの周囲の城壁をすべて取り壊した。貧しい民の一部、民のうち都に残っていたほかの者、バビロンの王に投降した者、ほかの技師たちは親衛隊の長ネブザルアダンによって、捕囚とされ、連れ去られた。この地の貧しい民の一部は、親衛隊の長ネブザルアダンによってぶどう畑と耕地にそのまま残された。
カルデア人は主の神殿の青銅の柱、台車、主の神殿にあった青銅の「海」を砕いて、その青銅をことごとくバビロンへ運び去り、壺、十能、芯切り鋏、鉢、柄杓など、祭儀用の青銅の器をことごとく奪い取った。また親衛隊の長は、小鉢、火皿、鉢、壺、燭台、柄杓、水差しなど、金製品も銀製品もすべて奪い取った。ソロモンが主の神殿のために造らせた二本の柱、一つの「海」、それを支える青銅の牛十二頭および台車についていえば、これらすべてのものの青銅の重量は量りきれなかった。柱についていえば、一本の柱の高さは十八アンマ、周囲は十二アンマ、空洞で厚みは指四本分であった。その上に青銅の柱頭があり、一方の柱頭の高さは五アンマ、柱頭の周りには格子模様の浮き彫りとざくろがあって、このすべてが青銅であった。もう一本の柱も同様に出来ていて、ざくろもそうであった。九十六個のざくろがぶら下がっており、格子模様の浮き彫りの周囲にあるざくろは全部で百個であった。
親衛隊の長は祭司長セラヤ、次席祭司ツェファンヤ、入り口を守る者三人を捕らえた。また、彼は戦士の監督をする宦官一人、都にいた王の側近七人、国の民の徴兵を担当する将軍の書記官、および都にいた国の民六十人を都から連れ去った。親衛隊の長ネブザルアダンは彼らを捕らえて、リブラにいるバビロンの王のもとに連れて行った。バビロンの王はハマト地方のリブラで彼らを打ち殺した。こうしてユダは自分の土地を追われて捕囚となった。
ネブカドレツァルが捕囚として連れ去った民の数をここに記すと、第七年に連れ去ったユダの人々が三千二十三人、ネブカドレツァルの第十八年にエルサレムから連れ去った者が八百三十二人であった。ネブカドレツァルの第二十三年には、親衛隊の長ネブザルアダンがユダの人々七百四十五人を捕囚として連れ去った。総数は四千六百人である。

ヨヤキン王の名誉回復

ユダの王ヨヤキンが捕囚となって三十七年目の十二月二十五日に、バビロンの王エビル・メロダクは、その即位の年にユダの王ヨヤキンに情けをかけ、彼を出獄させた。バビロンの王は彼を手厚くもてなし、バビロンで共にいた王たちの中で彼に最も高い位を与えた。ヨヤキンは獄中の衣を脱ぎ、生きている間、毎日欠かさず王と食事を共にすることとなった。彼は生きている間、死ぬ日まで毎日、日々の糧を常にバビロンの王から支給された。
エレミヤ 52
わたしが見ていると、北の方から激しい風が大いなる雲を巻き起こし、火を発し、周囲に光を放ちながら吹いてくるではないか。その中、つまりその火の中には、琥珀金の輝きのようなものがあった。またその中には、四つの生き物の姿があった。その有様はこうであった。彼らは人間のようなものであった。それぞれが四つの顔を持ち、四つの翼を持っていた。脚はまっすぐで、足の裏は子牛の足の裏に似ており、磨いた青銅が輝くように光を放っていた。また、翼の下には四つの方向に人間の手があった。四つとも、それぞれの顔と翼を持っていた。翼は互いに触れ合っていた。それらは移動するとき向きを変えず、それぞれ顔の向いている方向に進んだ。その顔は人間の顔のようであり、四つとも右に獅子の顔、左に牛の顔、そして四つとも後ろには鷲の顔を持っていた。顔はそのようになっていた。翼は上に向かって広げられ、二つは互いに触れ合い、ほかの二つは体を覆っていた。それらはそれぞれの顔の向いている方向に進み、霊の行かせる所へ進んで、移動するときに向きを変えることはなかった。生き物の姿、彼らの有様は燃える炭火の輝くようであり、松明の輝くように生き物の間を行き巡っていた。火は光り輝き、火から稲妻が出ていた。そして生き物もまた、稲妻の光るように出たり戻ったりしていた。
わたしが生き物を見ていると、四つの顔を持つ生き物の傍らの地に一つの車輪が見えた。それらの車輪の有様と構造は、緑柱石のように輝いていて、四つとも同じような姿をしていた。その有様と構造は車輪の中にもう一つの車輪があるかのようであった。それらが移動するとき、四つの方向のどちらにも進むことができ、移動するとき向きを変えることはなかった。車輪の外枠は高く、恐ろしかった。車輪の外枠には、四つとも周囲一面に目がつけられていた。生き物が移動するとき、傍らの車輪も進み、生き物が地上から引き上げられるとき、車輪も引き上げられた。それらは霊が行かせる方向に、霊が行かせる所にはどこにでも進み、車輪もまた、共に引き上げられた。生き物の霊が、車輪の中にあったからである。生き物が進むときには車輪も進み、生き物が止まるときには車輪も止まった。また、生き物が地上から引き上げられるとき、車輪も共に引き上げられた。生き物の霊が、車輪の中にあったからである。
エゼキエル 1:4-21
生き物の頭上にある大空の上に、サファイアのように見える王座の形をしたものがあり、王座のようなものの上には高く人間のように見える姿をしたものがあった。腰のように見えるところから上は、琥珀金が輝いているようにわたしには見えた。それは周りに燃えひろがる火のように見えた。腰のように見えるところから下は、火のように見え、周囲に光を放っていた。周囲に光を放つ様は、雨の日の雲に現れる虹のように見えた。これが主の栄光の姿の有様であった。わたしはこれを見てひれ伏した。そのとき、語りかける者があって、わたしはその声を聞いた。
エゼキエル 1:26-28
わたしが見ていると、人の有様のような姿があるではないか。その腰のように見えるところから下は火であり、腰から上は琥珀金の輝きのように光輝に満ちた有様をしていた。
エゼキエル 8:2
彼はわたしに言われた。「人の子よ、目の前にあるものを食べなさい。この巻物を食べ、行ってイスラエルの家に語りなさい。」わたしが口を開くと、主はこの巻物をわたしに食べさせて、言われた。「人の子よ、わたしが与えるこの巻物を胃袋に入れ、腹を満たせ。」わたしがそれを食べると、それは蜜のように口に甘かった。
エゼキエル 3:1-3
あなたは小麦、大麦、そら豆、ひら豆、きび、裸麦を取って、一つの器に入れ、パンを作りなさい。あなたが脇を下にして横たわっている日数、つまり三百九十日間、それを食べなさい。あなたの食べる食物の分量は一日につき二十シェケルで、それを一定の間隔をおいて食べなければならない。あなたの飲む水の分量は六分の一ヒンで、それを一定の間隔をおいて飲まなければならない。大麦のパン菓子のようにそれを食べなければならない。それを人々の目の前で人糞で焼きなさい。
更に主は言われた。「このようにイスラエルの人々はわたしが追いやる先の国々で、汚れたパンを食べる。」そこで、わたしは言った。「ああ、主なる神よ、わたしはわが身を汚したことがありません。若いころから今に至るまで、死んだ動物や、野獣が引き裂いた動物の肉を食べたことはなく、定められた日数を過ぎたいけにえの肉を口に入れたこともありません。」
主はわたしに言われた。「あなたが人糞の代わりに牛糞を用いることをわたしは許す。あなたはその上でパンを焼くがよい。」
エゼキエル 4:9-15

(編者註:)これに関しては山形氏の書いている通り。中東でも(乾燥させた)牛糞は繊維質の多い燃料として普通に用いられている。

人の子よ、あなたは鋭い剣を取って理髪師のかみそりのようにそれを手に持ち、あなたの髪の毛とひげをそり、その毛を秤にかけて分けなさい。その三分の一は包囲の期間が終わったときに都の中で火で燃やし、ほかの三分の一は都の周りで剣で打ち、残り三分の一は風に乗せて散らしなさい。わたしは剣を抜いてその後を追う。あなたはその中から毛を少し取って着物の裾に包み、更にその幾らかを取って火に投げ入れ、火で燃やしなさい。そこからまた火が出て、イスラエルの全家に及ぶであろう。
エゼキエル 5:1-4
エルサレムの堕落

第六年の六月五日のことである。わたしは自分の家に座っており、ユダの長老たちがわたしの前に座っていた。そのとき、主なる神の御手がわたしの上に下った。わたしが見ていると、人の有様のような姿があるではないか。その腰のように見えるところから下は火であり、腰から上は琥珀金の輝きのように光輝に満ちた有様をしていた。彼が手の形をしたものを差し伸べて、わたしの髪の毛の房をつかむと、霊はわたしを地と天の間に引き上げ、神の幻のうちにわたしをエルサレムへと運び、北に面する内側の門の入り口に連れて行った。そこには、激怒を起こさせる像が収められていた。
エゼキエル 8:1-3
しかし、わたしは彼らの中から少数の人々を残し、剣と飢えと疫病から守る。彼らが自分たちの行った忌まわしいすべてのことを、行く先々の国の中で語り聞かせるためである。そのとき、彼らは、わたしが主であることを知るようになる。」
エゼキエル 12:16
エルサレムの背信

主の言葉がわたしに臨んだ。「人の子よ、エルサレムにその忌まわしいことを知らせなさい。あなたは言わねばならない。主なる神は、エルサレムに対してこう言われる。お前の出身、お前の生まれはカナン人の地。父はアモリ人、母はヘト人である。誕生について言えば、お前の生まれた日に、お前のへその緒を切ってくれる者も、水で洗い、油を塗ってくれる者も、塩でこすり、布にくるんでくれる者もいなかった。だれもお前に目をかけず、これらのことの一つでも行って、憐れみをかける者はいなかった。お前が生まれた日、お前は嫌われて野に捨てられた。しかし、わたしがお前の傍らを通って、お前が自分の血の中でもがいているのを見たとき、わたしは血まみれのお前に向かって、『生きよ』と言った。血まみれのお前に向かって、『生きよ』と言ったのだ。わたしは、野の若草のようにお前を栄えさせた。それでお前は、健やかに育ち、成熟して美しくなり、胸の形も整い、髪も伸びた。だが、お前は裸のままであった。その後、わたしがお前の傍らを通ってお前を見たときには、お前は愛される年ごろになっていた。そこでわたしは、衣の裾を広げてお前に掛け、裸を覆った。わたしはお前に誓いを立てて、契約を結び、お前は、わたしのものになった、と主なる神は言われる。
わたしはお前を水で洗い、血を洗い落とし、油を塗った。そして、美しく織った服を着せ、上質の革靴を履かせ、亜麻布を頭にかぶらせ、絹の衣を掛けてやった。わたしはまた、装身具をお前につけ、腕には腕輪、首には首飾りをつけた。また、鼻に飾りの輪を、耳には耳輪を、頭には美しい冠をかぶらせた。こうして、お前は金銀で身を飾り、亜麻布と絹とで美しく織った服を身に着けた。そして小麦粉と蜂蜜と油を食物とした。こうしてお前は非常に美しくなり、女王のようになった。その美しさのゆえに、お前の名は国々の間に広まった。わたしがお前を装わせた装いには、少しも欠けるところがなかったからである、と主なる神は言われる。
それなのに、お前はその美しさを頼みとし、自分の名声のゆえに姦淫を行った。お前は通りかかる者すべてにこびを売り、身をまかせた。また、自分の着物の中から選び出して、華やかな床をしつらえ、その上で姦淫を行った。このようなことは、かつてなかったし、これからもあってはならないことだ。お前はまた、わたしが与えた金銀の美しい品々を取って男の像を造り、それと姦淫を行った。お前は美しく織った服をとってそれらの像に着せ、わたしの油と香をその前に供えた。また、お前はわたしが与えた食物、お前を養ってきた小麦粉、油、蜜をその前に供えて、宥めの香りとした、と主なる神は言われる。
お前はまた、わたしのために産んだお前の息子、娘たちをとり、偶像の食物として供えた。お前の姦淫はまだ足りないのか。お前はわたしの子供たちを殺し、火に焼いて偶像にささげた。お前は、あらゆる忌まわしいことや姦淫を行っているあいだ、幼いときに裸で血の中をもがいていたことを思い起こさなかった。
ああ、なんと災いなことか、お前は、と主なる神は言われる。すべての悪事の後に、お前は祭儀台を設け、すべての広場に高い所を造り、すべての四つ辻には高い所を設けて、お前の美しさを汚した。また、傍らを通るすべての者に両脚を広げ、姦淫を重ねた。お前はまた、肉欲の強い隣国エジプト人たちと姦淫を行い、姦淫を重ねてわたしを怒らせた。わたしは手をお前の上に伸ばして、お前の分け前を奪い、敵であるペリシテの女たちに渡し、その意のままにさせる。彼女たちはお前のみだらな行いにあきれ果てている。それでも、お前は飽き足らず、アシュルの人々と姦淫を行った。彼らと姦淫を行ってもまだ飽きず、商業の地カルデアと淫行を重ねたが、それでもなお飽き足らなかった。お前の心はなんとひどい熱病にかかっていることか、と主なる神は言われる。厚かましい淫婦が行うこれらすべてのことをしているとは。お前はすべての四つ辻に祭儀台を設け、すべての広場に高い所を造った。お前は報酬を受け取ることを潔しとしなかったから、娼婦とは違っていた。お前は、自分の夫の代わりに外国の男と通じる淫行の妻だ。すべての娼婦に対して人は金を払う。ところが、お前はすべてお前を愛する者に、お前の方から贈り物をし、賄賂を贈り、姦淫をするために人々を四方からお前のもとに来させる。お前の姦淫は他の女たちとは逆である。だれも、お前を誘って姦淫したのではない。お前が報酬を支払われるのではなく、お前の方から報酬を支払っているところが逆である。
それゆえ、姦淫の女よ、主の言葉を聞け。主なる神はこう言われる。お前が、愛を求める者と姦淫するために、欲情を注ぎ、裸をさらしたために、また、すべての忌まわしい偶像と、それにささげたお前の息子たちの血のゆえに、わたしは、お前がもてなしたすべての愛人たち、お前の好きだった者も嫌いだった者もすべて集める。わたしは彼らを至るところからお前のもとに集め、お前の裸を彼らにさらす。彼らはお前の裸をくまなく見る。わたしは、お前を淫行と流血のゆえに裁く。また、怒りと熱情をもって、お前の流血に報いる。更にわたしは、お前を彼らの手に渡す。彼らはお前の祭儀台を倒し、高い所を破壊し、お前の着物をはぎ取り、美しい飾りを取り去ってお前を裸にする。彼らは群衆を駆り立ててお前に向かわせ、石を投げさせ、剣で切りつけさせる。
エゼキエル 16:1-40
オホラとオホリバ

主の言葉がわたしに臨んだ。「人の子よ、かつて二人の女性がいた。彼女たちは同じ母の娘であった。彼女たちはエジプトで淫行を行った。まだ若いのに淫行を行った。その地で、彼女たちの乳房は握られ、処女の乳首は摘まれた。彼女たちの名は、姉はオホラ、妹はオホリバといった。彼女たちはわたしのものとなり、息子、娘たちを産んだ。彼女たちの名前であるオホラはサマリア、オホリバはエルサレムのことである。
オホラはわたしのもとにいながら、姦淫を行い、その愛人である戦士アッシリア人に欲情を抱いた。それは紫の衣を着た高官、知事、長官という皆、好ましい男たち、馬に乗る騎士たちであった。彼女はこの者どもと姦淫を行ったが、彼らは皆、アッシリアの支配者たちであった。彼女は欲情を抱いていたすべての者、およびその偶像によって身を汚した。彼女はエジプト以来の淫行から離れなかった。人々は彼女の若いときに彼女と寝て、処女の乳首を摘み、淫行を彼女に注いだからである。それゆえ、わたしは彼女をその愛人の手に、彼女が欲情を抱いたアッシリアの人々の手に渡した。彼らは彼女の裸をあらわにし、彼女の息子、娘たちを奪い、ついに彼女を剣で殺した。このように彼らは彼女を裁き、彼女は女たちの物笑いとなった。
妹オホリバはこれを見たが、彼女の欲情は姉よりも激しく、その淫行は姉よりもひどかった。彼女はアッシリアの人々に欲情を抱いた。彼らは知事、長官、戦士、盛装した者、馬に乗る騎兵たちで、皆、好ましい男たちであった。彼女が自らを汚すのをわたしは見たが、二人とも同じ仕方であった。彼女は淫行を更に加え、次には壁に浮き彫りされた人々、朱色に描かれたカルデア人の像に目を留めた。彼らは腰に帯を締め、頭には端を垂らすターバンを巻いており、皆、指揮官のようであった。彼らはカルデア出身のバビロン人の様子をしていた。彼女が彼らの有様に目を留めると欲情を抱き、使者をカルデアの彼らのもとに遣わした。そこで、バビロンの人々は愛の床を共にするために彼女のもとに来り、淫行をもって彼女を汚した。彼女は彼らと共に自分を汚したが、やがてその心は彼らから離れた。彼女がこれ見よがしに姦淫を行い、裸をあらわにしたので、わたしの心は、姉から離れたように彼女からも離れた。彼女は、かつてエジプトの地で淫行を行った若いころを思い起こして、淫行を重ねた。彼女は、ろばのような肉をもち、馬のような精をもった者の側女であることに欲情を燃やした。このように、彼女はエジプトでその若い乳房を握られ、乳首を摘まれた若い日の不貞を再び味わった。
それゆえ、オホリバよ。主なる神はこう言われる。わたしは、お前の心が離れた愛人どもを呼び起こし、お前に立ち向かわせ、彼らを周囲からお前のもとに来させる。それはバビロンの人々とカルデアのすべての人々、ペコド、ショア、コアおよびアッシリアのすべての人々である。彼らは皆、好ましい男たちで、知事、長官、指揮官、戦士、すべて馬に乗る者たちである。彼らは、武装した戦車、車、軍勢をもってお前を攻め、大盾、小盾、兜をもってお前を取り囲む。わたしが裁きを彼らにゆだねたので、彼らは自分たちの裁きの仕方でお前を裁く。わたしは熱情をもってお前に立ち向かい、彼らは憤りをもってお前をあしらう。彼らはお前の鼻と耳をそぎ取り、残った者は剣に倒れる。彼らはお前の息子、娘たちを連れ去り、残った者は火で焼き尽くされる。彼らはお前の衣服をはぎ取り、美しい飾りを奪う。わたしはお前の不貞と、エジプトの地にいたとき以来の淫行をやめさせる。お前はそれらに目を向けず、もはやエジプトを思い起こさない。
主なる神はこう言われる。わたしはお前が憎む者の手に、既にお前の心が離れてしまった者の手にお前を渡す。彼らは憎しみをもってお前をあしらい、労苦によって得たものを奪い、お前を裸にして捨てる。お前の淫行と不貞と姦淫は、裸にされて暴かれる。これらのことが臨むのは、お前が諸国民と姦淫を行い、彼らの偶像によって身を汚したためである。お前は姉の歩んだ道を歩んだので、わたしは彼女の杯をお前の手に渡す。
主なる神はこう言われる。
 姉の杯を、お前は飲まねばならぬ
 深くて大きい杯を。
 お前は嘲られ、侮られる。
 杯は満ち溢れている。
 お前は酔いと悲しみで満たされる。
 恐れと滅びの杯
 お前の姉サマリアの杯
 お前はそれを飲み干して
 杯のかけらまでかまねばならない。
 そして自分の乳房をかき裂く。
 わたしがこれを語ったからだと
 主なる神が言われる。
それゆえ、主なる神はこう言われる。お前はわたしを忘れ、わたしを後ろに投げ捨てたのだから、不貞と淫行の責めを自分で負わねばならぬ。
主はわたしに言われた。人の子よ、あなたはオホラとオホリバを裁くのか。あなたは彼女らにその忌まわしいことを告げ知らせるがよい。彼女たちは姦淫を行い、その手には血がある。彼女たちは自分の偶像と姦淫を行った。そしてわたしのために産んだ彼女たちの息子らさえ、食物として偶像にささげた。更に、彼女たちはわたしに対して次のことを行った。すなわち、その日にわたしの聖所を汚し、わたしの安息日を汚した。彼女たちはその息子を殺して偶像にささげたその日に、わたしの聖所に来てそれを汚した。このようなことを、彼女たちはわたしの家の中で行った。また、彼女たちは遠くから来る者たちのために人を遣わした。彼らのもとに使者が遣わされた。そして、彼らがやって来ると、彼女は彼らのために身を洗い、目にくま取りをし、飾り物で身を飾り、華やかなベッドに座った。また、その前に宴の座を用意し、わたしの香と油をそこに置いた。そこには、軽薄な群衆、荒れ野から連れて来られた多くの人々の騒ぎの声が起こった。彼らは彼女たちの手に、腕輪をはめ、頭には美しい冠をかぶせた。わたしは、淫行に疲れ果てた彼女について言った。今も彼らは彼女と淫行を重ねるのか。また彼女も。やはり、彼らは彼女のもとへ行った。遊女のもとに行くように、彼らはこの不貞の女オホラとオホリバのもとへ行った。正しい人々は、姦淫の女の裁きと血を流す者の裁きに従って、彼女たちを裁く。彼女たちが姦淫の女であり、その手が血に染まっているからである。
主なる神はこう言われる。彼女たちのために会衆を召集せよ。彼女らを恐怖と略奪の的とせよ。会衆は彼女らを石で打ち殺し、剣で切り倒す。また、彼女らの息子、娘たちを殺し、家を火で焼く。こうして、わたしはこの地の不貞をやめさせる。すべての女たちはこれに学び、お前たちの不貞に従うことはない。お前たちの不貞の報いはお前たちに帰し、お前たちは偶像による過ちの責めを負わねばならない。そのとき、お前たちはわたしが主なる神であることを知るようになる。」
エゼキエル 23
洪水

さて、地上に人が増え始め、娘たちが生まれた。神の子らは、人の娘たちが美しいのを見て、おのおの選んだ者を妻にした。主は言われた。「わたしの霊は人の中に永久にとどまるべきではない。人は肉にすぎないのだから。」こうして、人の一生は百二十年となった。
当時もその後も、地上にはネフィリムがいた。これは、神の子らが人の娘たちのところに入って産ませた者であり、大昔の名高い英雄たちであった。
創世記 6:1-4
しかし、イスラエルの家は荒れ野でわたしに背き、人がそれを行えば生きることができるわたしの掟に歩まず、わたしの裁きを退け、更に、わたしの安息日を甚だしく汚した。それゆえ、わたしは荒れ野で、憤りを彼らの上に注ぎ、彼らを滅ぼし尽くそうとした。しかし、わが名のために、わたしがイスラエルを連れ出したときに見ていた諸国民の前で、わが名を汚すことがないようにした。
エゼキエル 20:13-14
わたしもまた、良くない掟と、それによって生きることができない裁きを彼らに与えた。また、彼らが初子をすべてささげたとき、わたしは彼らの献げ物によって彼らを汚した。それは、わたしが彼らを荒廃させ、わたしが主であることを知らせるためであった。
エゼキエル 20:25-26
お前たちは、『我々は諸国民のように、また、世界各地の種族のように、木や石の偶像に仕えよう』と言っているが、お前たちが心に思うそのようなことは決して実現しない。わたしは生きている、と主なる神は言われる。わたしは必ず、強い手と伸ばした腕と、溢れる憤りをもって、お前たちを治める。
エゼキエル 20:32-33
エゼキエルの妻の死

主の言葉がわたしに臨んだ。「人の子よ、わたしはあなたの目の喜びを、一撃をもってあなたから取り去る。あなたは嘆いてはならない。泣いてはならない。涙を流してはならない。声をあげずに悲しめ。死者の喪に服すな。頭にターバンを巻き、足に靴を履きなさい。口ひげを覆うな。嘆きのパンを食べてはならない。」
朝、わたしは人々に語っていた。その夕、わたしの妻は死んだ。翌朝、わたしは命じられたとおりに行った。人々はわたしに尋ねた。「あなたが行っているこれらの事は、我々にどんな意味があるのか告げてくれないか」と。そこでわたしは、彼らに語った。「主の言葉がわたしに臨んだ。イスラエルの家に言いなさい。主なる神はこう言われる。わたしは、わたしの聖所を汚す。それはお前たちの誇る砦であり、目の喜び、心の慕うものであった。お前たちが残してきた息子、娘たちは、剣によって滅びる。わたしがしたように、お前たちもするようになる。お前たちは口ひげを覆ってはならない。嘆きのパンを食べてはならない。頭にターバンを巻き、足に靴を履け。また、嘆いてはならない。泣いてはならない。お前たちは自分の罪のゆえに衰え、互いに嘆くようになる。エゼキエルは、お前たちにとってしるしとなる。すべて彼が行ったように、お前たちもするであろう。すべてが実現したとき、お前たちは、わたしが主なる神であることを知るようになる。」
エゼキエル 24:15-24
アンモン人への預言

主の言葉がわたしに臨んだ。「人の子よ、顔をアンモン人に向けて、彼らに預言せよ。アンモン人に言いなさい。主なる神の言葉を聞け、主なる神はこう言われる。お前はわたしの聖所が汚され、イスラエルの地が荒らされ、ユダの家が捕囚となって行ったことを、あはは、と言って嘲った。それゆえ、わたしはお前を東の人々に渡して彼らに所有させる。彼らはお前の中に陣営を張り、住まいを定める。彼らはお前の果実を食べ、お前の乳を飲む。わたしは都ラバを、らくだが草をはむ所とし、アンモンの地を羊の憩う所とする。そのとき、お前たちはわたしが主であることを知るようになる。
主なる神はこう言われる。お前は手を打ち、足を踏み鳴らし、イスラエルの地に対する嘲りの思いに満ちて喜んだ。それゆえ、わたしはお前に向かって手を伸ばし、お前を国々の略奪にゆだね、諸国民の中から断ち、諸国から一掃して滅ぼし尽くす。そのとき、お前はわたしが主であることを知るようになる。」

モアブへの預言

主なる神はこう言われる。「モアブとセイルは、『ユダの家も他のすべての国のようになった』と言った。それゆえ、わたしはモアブの脇腹を引き裂き、この国の町々をすべて、その誇りであるベト・エシモト、バアル・メオン、キルヤタイムをはじめひとつ残らず滅ぼし尽くす。わたしは、アンモン人と共にモアブを東の人々に渡して所有させる。アンモン人が諸国民の間で思い起こされることはない。わたしはモアブに裁きを行う。そのとき、彼らはわたしが主であることを知るようになる。」

エドムへの預言

主なる神はこう言われる。「エドムはユダの家に復讐をした。彼らはその復讐によって、大いに罪を犯した。それゆえ、主なる神はこう言われる。わたしはエドムに向かって手を伸ばし、その中から人と獣を断って荒れ地とする。彼らはテマンからデダンにいたるまで剣で倒れる。わたしは、わが民イスラエルによってエドムに復讐する。彼らは、わたしの怒りと憤りのままにエドムに対して行う。そのとき、彼らはわたしの復讐を知るようになる」と主なる神は言われる。

ペリシテへの預言

主なる神はこう言われる。「ペリシテ人は復讐し、嘲りの思いをもって大いに仇を報い、昔からの憎しみにかられて滅ぼそうとした。それゆえ、主なる神はこう言われる。わたしは手をペリシテ人に向かって伸ばし、クレタ人を断ち、海辺に残っている者を一掃する。わたしは、彼らを憤りをもって懲らしめ、大いに復讐する。わたしが彼らに仇を報いるとき、彼らはわたしが主であることを知るようになる。」
エゼキエル 25:1-17
 わたしは、お前を大地に投げ出し
 野に投げ捨てる。
 空のすべての鳥をお前の上にやどらせ
 地上のすべての獣にお前を
     食べさせて、飽かせる。
 わたしはお前の肉を山の上に捨て
 お前の腐った肉で谷を満たす。
 わたしはお前の流れ出た血を
 大地にのませ、山に注ぐ。
 お前の血で谷間も満たされる。
エゼキエル 32:4-6
人の子よ、わたしはあなたをイスラエルの家の見張りとした。あなたが、わたしの口から言葉を聞いたなら、わたしの警告を彼らに伝えねばならない。わたしが悪人に向かって、『悪人よ、お前は必ず死なねばならない』と言うとき、あなたが悪人に警告し、彼がその道から離れるように語らないなら、悪人は自分の罪のゆえに死んでも、血の責任をわたしはお前の手に求める。しかし、もしあなたが悪人に対してその道から立ち帰るよう警告したのに、彼がその道から立ち帰らなかったのなら、彼は自分の罪のゆえに死に、あなたは自分の命を救う。
エゼキエル 33:7-9
人の子よ、あなたの同胞に言いなさい。正しい人の正しさも、彼が背くときには、自分を救うことができない。また、悪人の悪も、彼がその悪から立ち帰るときには、自分をつまずかせることはない。正しい人でも、過ちを犯すときには、その正しさによって生きることはできない。正しい人に向かって、わたしが、『お前は必ず生きる』と言ったとしても、もし彼が自分自身の正しさに頼って不正を行うなら、彼のすべての正しさは思い起こされることがなく、彼の行う不正のゆえに彼は死ぬ。また、悪人に向かって、わたしが、『お前は必ず死ぬ』と言ったとしても、もし彼がその過ちから立ち帰って正義と恵みの業を行うなら、すなわち、その悪人が質物を返し、奪ったものを償い、命の掟に従って歩き、不正を行わないなら、彼は必ず生きる。死ぬことはない。彼の犯したすべての過ちは思い起こされず、正義と恵みの業を行った者は必ず生きる。それなのに、あなたの同胞は言っている。『主の道は正しくない』と。しかし正しくないのは彼らの道である。正しい人でも、正しさから離れて不正を行うなら、その不正のゆえに彼は死ぬ。また、悪人でも、悪から離れて正義と恵みの業を行うなら、それゆえに彼は生きる。それなのに、お前たちは言っている。『主の道は正しくない』と。イスラエルの家よ、わたしは人をそれぞれの道に従って裁く。」
エゼキエル 33:12-20
悪人であっても、もし犯したすべての過ちから離れて、わたしの掟をことごとく守り、正義と恵みの業を行うなら、必ず生きる。死ぬことはない。彼の行ったすべての背きは思い起こされることなく、行った正義のゆえに生きる。わたしは悪人の死を喜ぶだろうか、と主なる神は言われる。彼がその道から立ち帰ることによって、生きることを喜ばないだろうか。
しかし、正しい人でも、その正しさから離れて不正を行い、悪人がするようなすべての忌まわしい事を行うなら、彼は生きることができようか。彼の行ったすべての正義は思い起こされることなく、彼の背信の行為と犯した過ちのゆえに彼は死ぬ。
それなのにお前たちは、『主の道は正しくない』と言う。聞け、イスラエルの家よ。わたしの道が正しくないのか。正しくないのは、お前たちの道ではないのか。正しい人がその正しさから離れて不正を行い、そのゆえに死ぬなら、それは彼が行った不正のゆえに死ぬのである。しかし、悪人が自分の行った悪から離れて正義と恵みの業を行うなら、彼は自分の命を救うことができる。彼は悔い改めて、自分の行ったすべての背きから離れたのだから、必ず生きる。死ぬことはない。それなのにイスラエルの家は、『主の道は正しくない』と言う。イスラエルの家よ、わたしの道が正しくないのか。正しくないのは、お前たちの道ではないのか。
エゼキエル 18:21-29
それゆえ、彼らにこう言いなさい。主なる神はこう言われる。わたしは生きている。廃虚にいる者たちは必ず剣に倒れる。野にいる者はすべて、獣に餌食として与え、砦と洞穴にいる者たちは疫病によって死ぬ。わたしはこの土地を荒れ地とし、荒廃した土地とする。この土地が誇った力はうせ、イスラエルの山々は荒れ果て、そこを通る者はなくなる。彼らが行ったすべての忌まわしいことのゆえに、わたしがこの土地を荒れ地とし、荒廃した地にするとき、彼らはわたしが主であることを知るようになる。
エゼキエル 33:27-29
それゆえ、イスラエルの家に言いなさい。主なる神はこう言われる。イスラエルの家よ、わたしはお前たちのためではなく、お前たちが行った先の国々で汚したわが聖なる名のために行う。わたしは、お前たちが国々で汚したため、彼らの間で汚されたわが大いなる名を聖なるものとする。わたしが彼らの目の前で、お前たちを通して聖なるものとされるとき、諸国民は、わたしが主であることを知るようになる、と主なる神は言われる。
エゼキエル 36:22-23
わたしがこれを行うのは、お前たちのためではないことを知れ、と主なる神は言われる。イスラエルの家よ、恥じるがよい。自分の歩みを恥ずかしく思え。
エゼキエル 36:32
彼らが内庭の門に入るときは、亜麻布の衣服を着なければならない。内庭の門と神殿で仕えるときは、羊毛のものを身に着けてはならない。頭には亜麻布のターバンをかぶり、腰には亜麻布の短いズボンをはかねばならない。汗が出るようなものを着てはならない。
エゼキエル 44:17-18
彼らが民のいる外庭に出て行くときは、務めを行うときに着用した衣服を脱ぎ、神聖な部屋に置き、別の衣服を着なければならない。彼らがその衣服で民に神聖さを移すことがないためである。
エゼキエル 44:19
ダニエルは宮廷の肉類と酒で自分を汚すまいと決心し、自分を汚すようなことはさせないでほしいと侍従長に願い出た。神の御計らいによって、侍従長はダニエルに好意を示し、親切にした。侍従長はダニエルに言った。
「わたしは王様が恐ろしい。王様御自身がお前たちの食べ物と飲み物をお定めになったのだから。同じ年ごろの少年に比べてお前たちの顔色が悪くなったら、お前たちのためにわたしの首が危うくなるではないか。」
ダニエルは、侍従長が自分たち四人の世話係に定めた人に言った。
「どうかわたしたちを十日間試してください。その間、食べる物は野菜だけ、飲む物は水だけにさせてください。その後、わたしたちの顔色と、宮廷の肉類をいただいた少年の顔色をよくお比べになり、その上でお考えどおりにしてください。」
世話係はこの願いを聞き入れ、十日間彼らを試した。十日たってみると、彼らの顔色と健康は宮廷の食べ物を受けているどの少年よりも良かった。それ以来、世話係は彼らに支給される肉類と酒を除いて、野菜だけ与えることにした。
ダニエル 1:8-16

ネブカドネザル王

燃え盛る炉に投げ込まれた三人

ネブカドネツァル王は一つの金の像を造った。高さは六十アンマ、幅は六アンマで、これをバビロン州のドラという平野に建てた。ネブカドネツァル王は人を遣わして、総督、執政官、地方長官、参議官、財務官、司法官、保安官、その他諸州の高官たちを集め、自分の建てた像の除幕式に参列させることにした。総督、執政官、地方長官、参議官、財務官、司法官、保安官、その他諸州の高官たちはその王の建てた像の除幕式に集まり、像の前に立ち並んだ。伝令は力を込めて叫んだ。
「諸国、諸族、諸言語の人々よ、あなたたちに告げる。角笛、横笛、六絃琴、竪琴、十三絃琴、風琴などあらゆる楽器による音楽が聞こえたなら、ネブカドネツァル王の建てられた金の像の前にひれ伏して拝め。ひれ伏して拝まない者は、直ちに燃え盛る炉に投げ込まれる。」
それで、角笛、横笛、六絃琴、竪琴、十三絃琴の音楽が聞こえてくると、諸国、諸族、諸言語の人々は皆ひれ伏し、ネブカドネツァル王の建てた金の像を拝んだ。
さてこのとき、何人かのカルデア人がユダヤ人を中傷しようと進み出て、ネブカドネツァル王にこう言った。
「王様がとこしえまでも生き永らえられますように。御命令によりますと、角笛、横笛、六絃琴、竪琴、十三絃琴、風琴などあらゆる楽器の音楽が聞こえたなら、だれでも金の像にひれ伏して拝め、ということでした。そうしなければ、燃え盛る炉に投げ込まれるはずです。バビロン州には、その行政をお任せになっているユダヤ人シャドラク、メシャク、アベド・ネゴの三人がおりますが、この人々は御命令を無視して、王様の神に仕えず、お建てになった金の像を拝もうとしません。」
これを聞いたネブカドネツァル王は怒りに燃え、シャドラク、メシャク、アベド・ネゴを連れて来るよう命じ、この三人は王の前に引き出された。王は彼らに言った。
「シャドラク、メシャク、アベド・ネゴ、お前たちがわたしの神に仕えず、わたしの建てた金の像を拝まないというのは本当か。今、角笛、横笛、六絃琴、竪琴、十三絃琴、風琴などあらゆる楽器の音楽が聞こえると同時にひれ伏し、わたしの建てた金の像を拝むつもりでいるなら、それでよい。もしも拝まないなら、直ちに燃え盛る炉に投げ込ませる。お前たちをわたしの手から救い出す神があろうか。」
シャドラク、メシャク、アベド・ネゴはネブカドネツァル王に答えた。
「このお定めにつきまして、お答えする必要はございません。わたしたちのお仕えする神は、その燃え盛る炉や王様の手からわたしたちを救うことができますし、必ず救ってくださいます。そうでなくとも、御承知ください。わたしたちは王様の神々に仕えることも、お建てになった金の像を拝むことも、決していたしません。」
ネブカドネツァル王はシャドラク、メシャク、アベド・ネゴに対して血相を変えて怒り、炉をいつもの七倍も熱く燃やすように命じた。そして兵士の中でも特に強い者に命じて、シャドラク、メシャク、アベド・ネゴを縛り上げ、燃え盛る炉に投げ込ませた。彼らは上着、下着、帽子、その他の衣服を着けたまま縛られ、燃え盛る炉に投げ込まれた。王の命令は厳しく、炉は激しく燃え上がっていたので、噴き出る炎はシャドラク、メシャク、アベド・ネゴを引いて行った男たちをさえ焼き殺した。シャドラク、メシャク、アベド・ネゴの三人は縛られたまま燃え盛る炉の中に落ち込んで行った。
間もなく王は驚きの色を見せ、急に立ち上がり、側近たちに尋ねた。
「あの三人の男は、縛ったまま炉に投げ込んだはずではなかったか。」
彼らは答えた。
「王様、そのとおりでございます。」
王は言った。
「だが、わたしには四人の者が火の中を自由に歩いているのが見える。そして何の害も受けていない。それに四人目の者は神の子のような姿をしている。」
ネブカドネツァル王は燃え盛る炉の口に近づいて呼びかけた。
「シャドラク、メシャク、アベド・ネゴ、いと高き神に仕える人々よ、出て来なさい。」すると、シャドラク、メシャク、アベド・ネゴは炉の中から出て来た。総督、執政官、地方長官、王の側近たちは集まって三人を調べたが、火はその体を損なわず、髪の毛も焦げてはおらず、上着も元のままで火のにおいすらなかった。ネブカドネツァル王は言った。
「シャドラク、メシャク、アベド・ネゴの神をたたえよ。彼らは王の命令に背き、体を犠牲にしても自分の神に依り頼み、自分の神以外にはいかなる神にも仕えず、拝もうともしなかったので、この僕たちを、神は御使いを送って救われた。わたしは命令する。いかなる国、民族、言語に属する者も、シャドラク、メシャク、アベド・ネゴの神をののしる者があれば、その体は八つ裂きにされ、その家は破壊される。まことに人間をこのように救うことのできる神はほかにはない。」
こうして王は、シャドラク、メシャク、アベド・ネゴをバビロン州で高い位につけた。

大きな木の夢

ネブカドネツァル王は、全世界の諸国、諸族、諸言語の住民に、いっそうの繁栄を願って、挨拶を送る。
さて、わたしはいと高き神がわたしになさったしるしと不思議な御業を知らせる。
 この神のしるしは、いかに偉大であり
 不思議な御業は、いかに力あることか。
 その御国は永遠の御国であり、支配は代々に及ぶ。
ダニエル 3
十二か月が過ぎたころのことである。王はバビロンの王宮の屋上を散歩しながら、こう言った。「なんとバビロンは偉大ではないか。これこそ、このわたしが都として建て、わたしの権力の偉大さ、わたしの威光の尊さを示すものだ。」まだ言い終わらぬうちに、天から声が響いた。「ネブカドネツァル王よ、お前に告げる。王国はお前を離れた。お前は人間の社会から追放されて、野の獣と共に住み、牛のように草を食らい、七つの時を過ごすのだ。そうしてお前はついに、いと高き神こそが人間の王国を支配する者で、神は御旨のままにそれをだれにでも与えるのだということを悟るであろう。」この言葉は直ちにネブカドネツァルの身に起こった。彼は人間の社会から追放され、牛のように草を食らい、その体は天の露にぬれ、その毛は鷲の羽のように、つめは鳥のつめのように生え伸びた。
ダニエル 4:26-30

(編者註:)「壁の文字」事件というのはこれ。

壁に字を書く指の幻

ベルシャツァル王は千人の貴族を招いて大宴会を開き、みんなで酒を飲んでいた。宴も進んだころ、ベルシャツァルは、その父ネブカドネツァルがエルサレムの神殿から奪って来た金銀の祭具を持って来るように命じた。王や貴族、後宮の女たちがそれで酒を飲もうというのである。そこで、エルサレムの神殿から奪って来た金銀の祭具が運び込まれ、王や貴族、後宮の女たちがそれで酒を飲み始めた。こうして酒を飲みながら、彼らは金や銀、青銅、鉄、木や石などで造った神々をほめたたえた。
その時、人の手の指が現れて、ともし火に照らされている王宮の白い壁に文字を書き始めた。王は書き進むその手先を見た。王は恐怖にかられて顔色が変わり、腰が抜け、膝が震えた。王は大声をあげ、祈祷師、賢者、星占い師などを連れて来させ、これらバビロンの知者にこう言った。「この字を読み、解釈をしてくれる者には、紫の衣を着せ、金の鎖を首にかけて、王国を治める者のうちの第三の位を与えよう。」宮廷の知者たちは皆、集まって来たが、だれもその字を読むことができず、解釈もできなかった。ベルシャツァル王はいよいよ恐怖にかられて顔色が変わり、貴族も皆途方に暮れた。
王や貴族が話しているのを聞いた王妃は、宴会場に来てこう言った。「王様がとこしえまでも生き永らえられますように。そんなに心配したり顔色を変えたりなさらないでくださいませ。お国には、聖なる神の霊を宿している人が一人おります。父王様の代に、その人はすばらしい才能、神々のような知恵を示したものでございます。お父上のネブカドネツァル王様は、この人を占い師、祈祷師、賢者、星占い師などの長にしておられました。この人には特別な霊の力があって、知識と才能に富み、夢の解釈、謎解き、難問の説明などがよくできるのでございます。ダニエルという者で、父王様はベルテシャツァルと呼んでいらっしゃいました。このダニエルをお召しになれば、その字の解釈をしてくれることでございましょう。」
そこで、ダニエルが王の前に召し出された。王は彼に言った。「父王がユダから捕らえ帰ったユダヤ人の捕囚の一人、ダニエルというのはお前か。聞くところによると、お前は神々の霊を宿していて、すばらしい才能と特別な知恵を持っているそうだ。賢者や祈祷師を連れて来させてこの文字を読ませ、解釈させようとしたのだが、彼らにはそれができなかった。お前はいろいろと解釈をしたり難問を解いたりする力を持つと聞いた。もしこの文字を読み、その意味を説明してくれたなら、お前に紫の衣を着せ、金の鎖を首にかけて、王国を治める者のうち第三の位を与えよう。」
ダニエルは王に答えた。「贈り物など不要でございます。報酬はだれか他の者にお与えください。しかし、王様のためにその文字を読み、解釈をいたしましょう。王様、いと高き神は、あなたの父ネブカドネツァル王に王国と権勢と威光をお与えになりました。その権勢を見て、諸国、諸族、諸言語の人々はすべて、恐れおののいたのです。父王様は思うままに殺し、思うままに生かし、思うままに栄誉を与え、思うままに没落させました。しかし、父王様は傲慢になり、頑に尊大にふるまったので、王位を追われ、栄光は奪われました。父王様は人間の社会から追放され、心は野の獣のようになり、野生のろばと共に住み、牛のように草を食らい、天から降る露にその身をぬらし、ついに悟ったのは、いと高き神こそが人間の王国を支配し、その御旨のままに王を立てられるのだということでした。さて、ベルシャツァル王よ、あなたはその王子で、これらのことをよくご存じでありながら、なお、へりくだろうとはなさらなかった。天の主に逆らって、その神殿の祭具を持ち出させ、あなた御自身も、貴族も、後宮の女たちも皆、それで飲みながら、金や銀、青銅、鉄、木や石で造った神々、見ることも聞くこともできず、何も知らないその神々を、ほめたたえておられます。だが、あなたの命と行動の一切を手中に握っておられる神を畏れ敬おうとはなさらない。そのために神は、あの手を遣わして文字を書かせたのです。さて、書かれた文字はこうです。メネ、メネ、テケル、そして、パルシン。意味はこうです。メネは数えるということで、すなわち、神はあなたの治世を数えて、それを終わらせられたのです。テケルは量を計ることで、すなわち、あなたは秤にかけられ、不足と見られました。パルシンは分けるということで、すなわち、あなたの王国は二分されて、メディアとペルシアに与えられるのです。」
これを聞いたベルシャツァルは、ダニエルに紫の衣を着せ、金の鎖をその首にかけるように命じ、王国を治める者のうち第三の位を彼に与えるという布告を出した。その同じ夜、カルデア人の王ベルシャツァルは殺された。
ダニエル 5

(編者註:)「ダニエルが神さまにお祈りして、ライオンの穴に一晩入れられた話」というのは以下のくだり。

獅子の洞窟に投げ込まれたダニエル

さて、王国を継いだのは、メディア人ダレイオスであった。彼は既に六十二歳であった。ダレイオスは、王国に百二十人の総督を置いて全国を治めさせることにし、また、王に損失がないようにするため、これらの総督から報告を受ける大臣を三人、その上に置いた。ダニエルはそのひとりであった。ダニエルには優れた霊が宿っていたので、他の大臣や総督のすべてに傑出していた。王は彼に王国全体を治めさせようとした。大臣や総督は、政務に関してダニエルを陥れようと口実を探した。しかし、ダニエルは政務に忠実で、何の汚点も怠慢もなく、彼らは訴え出る口実を見つけることができなかった。それで彼らは、「ダニエルを陥れるには、その信じている神の法に関してなんらかの言いがかりをつけるほかはあるまい」と話し合い、王のもとに集まってこう言った。「ダレイオス王様がとこしえまでも生き永らえられますように。王国の大臣、執政官、総督、地方長官、側近ら一同相談いたしまして、王様に次のような、勅令による禁止事項をお定めいただこうということになりました。すなわち、向こう三十日間、王様を差し置いて他の人間や神に願い事をする者は、だれであれ獅子の洞窟に投げ込まれる、と。王様、どうぞこの禁令を出し、その書面に御署名ください。そうすれば、これはメディアとペルシアの法律として変更不可能なものとなり、廃止することはできなくなります。」ダレイオス王は、その書面に署名して禁令を発布した。ダニエルは王が禁令に署名したことを知っていたが、家に帰るといつものとおり二階の部屋に上がり、エルサレムに向かって開かれた窓際にひざまずき、日に三度の祈りと賛美を自分の神にささげた。役人たちはやって来て、ダニエルがその神に祈り求めているのを見届け、王の前に進み出、禁令を引き合いに出してこう言った。「王様、向こう三十日間、王様を差し置いて他の人間や神に願い事をする者があれば、獅子の洞窟に投げ込まれるという勅令に署名をなさったのではございませんか。」王は答えた。「そのとおりだ。メディアとペルシアの法律は廃棄されることはない。」彼らは王に言った。「王様、ユダヤからの捕囚の一人ダニエルは、あなたさまをも、署名なさったその禁令をも無視して、日に三度祈りをささげています。」王はこれを聞いてたいそう悩み、なんとかダニエルを助ける方法はないものかと心を砕き、救おうとして日の暮れるまで努力した。役人たちは王のもとに来て言った。「王様、ご存じのとおり、メディアとペルシアの法律によれば、王による勅令や禁令は一切変更してはならないことになっております。」それで王は命令を下し、ダニエルは獅子の洞窟に投げ込まれることになって引き出された。王は彼に言った。「お前がいつも拝んでいる神がお前を救ってくださるように。」一つの石が洞窟の入り口に置かれ、王は自分の印と貴族たちの印で封をし、ダニエルに対する処置に変更がないようにした。
王は宮殿に帰ったが、その夜は食を断ち、側女も近寄らせず、眠れずに過ごし、夜が明けるやいなや、急いで獅子の洞窟へ行った。洞窟に近づくと、王は不安に満ちた声をあげて、ダニエルに呼びかけた。「ダニエル、ダニエル、生ける神の僕よ、お前がいつも拝んでいる神は、獅子からお前を救い出す力があったか。」ダニエルは王に答えた。「王様がとこしえまでも生き永らえられますように。神様が天使を送って獅子の口を閉ざしてくださいましたので、わたしはなんの危害も受けませんでした。神様に対するわたしの無実が認められたのです。そして王様、あなたさまに対しても、背いたことはございません。」王はたいそう喜んで、ダニエルを洞窟から引き出すように命じた。ダニエルは引き出されたが、その身に何の害も受けていなかった。神を信頼していたからである。
ダニエル 6:1-24

(編者註:)……と、ここまでだったらめでたしめでたしなんだけど、やはりそこは旧約聖書なので、そう簡単に話は終わらないのだった。

王は命令を下して、ダニエルを陥れようとした者たちを引き出させ、妻子もろとも獅子の洞窟に投げ込ませた。穴の底にも達しないうちに、獅子は彼らに飛びかかり、骨までもかみ砕いた。
ダニエル 6:25

(編者註:)ケンが不思議がっているダニエル書における神の扱いの話だけど、この辺にそれが現れている。

すると、夜の幻によってその秘密がダニエルに明かされた。ダニエルは天の神をたたえ、
ダニエル 2:19
王はダニエルに言った。
「あなたがこの秘密を明かすことができたからには、あなたたちの神はまことに神々の神、すべての王の主、秘密を明かす方にちがいない。」
ダニエル 2:47
この夜の幻で更に続けて見たものは、第四ので、ものすごく、恐ろしく、非常に強く、巨大な鉄の歯を持ち、食らい、かみ砕き、残りを足で踏みにじった。他の獣と異なって、これには十本の角があった。
ダニエル 7:7

(編者註:) 「末日」は英語の the latter days に相当するが、訳語としての「末日」はカトリックなどでは一般的には用いない。むしろ「末日聖徒イエス・キリスト教会」−−いわゆる「モルモン教」:既存のキリスト教においては異端とみなされている−−などの語で目にすることの方が多いかもしれない。

だが、秘密を明かす天の神がおられ、この神が将来何事が起こるのかをネブカドネツァル王に知らせてくださったのです。王様の夢、お眠りになっていて頭に浮かんだ幻を申し上げましょう。
(参考・欽定訳)
But there is a God in heaven that revealeth secrets, and maketh known to the king Nebuchadnezzar what shall be in the latter days. Thy dream, and the visions of thy head upon thy bed, are these;
ダニエル 2:28
それで、お前の民に将来起こるであろうことを知らせるために来たのだ。この幻はその時に関するものだ。」
(参考・欽定訳)
Now I am come to make thee understand what shall befall thy people in the latter days: for yet the vision is for many days.
ダニエル 10:14
 才知にたけ
 その手にかかればどんな悪だくみも成功し
 驕り高ぶり、平然として多くの人を滅ぼす。
 ついに最も大いなる君に敵対し
 人の手によらずに滅ぼされる。
(参考・欽定訳)
And through his policy also he shall cause craft to prosper in his hand; and he shall magnify himself in his heart, and by peace shall destroy many: he shall also stand up against the Prince of princes; but he shall be broken without hand.
ダニエル 8:25

(編者註:)intelligence に相当する単語の存在は、新共同訳からはうかがい知ることが難しい。ここには欽定訳も併せて引用しておく。

キティムの船隊が攻めるので、彼は力を失う。彼は再び聖なる契約に対し、怒りを燃やして行動し、また聖なる契約を離れる者があることに気づく。
(参考・欽定訳)
For the ships of Chittim shall come against him: therefore he shall be grieved, and return, and have indignation against the holy covenant: so shall he do; he shall even return, and have intelligence with them that forsake the holy covenant.
ダニエル 11:30

(編者註:)ここでケンの言っていることは厳密にはちょっと違う。ホセアが自ら淫行に励んでいるわけではなくて、神さまがホセアに「(淫行する女のように神さまを裏切る諸国をあかしするために)淫行をした女をめとれ」と言ってるのね。そういう汚れを皆女性の方に帰属させようという辺りがいかにも旧約聖書的なんだけど。

ホセアの妻と子

主がホセアに語られたことの初め。
主はホセアに言われた。
「行け、淫行の女をめとり
淫行による子らを受け入れよ。
この国は主から離れ、淫行にふけっているからだ。」
彼は行って、ディブライムの娘ゴメルをめとった。彼女は身ごもり、男の子を産んだ。主は彼に言われた。
「その子をイズレエルと名付けよ。
間もなく、わたしはイエフの王家に
    イズレエルにおける流血の罰を下し
イスラエルの家におけるその支配を絶つ。
その日が来ると
イズレエルの平野で
わたしはイスラエルの弓を折る。」
彼女は再び身ごもり、女の子を産んだ。主は彼に言われた。
「その子を
ロ・ルハマ(憐れまれぬ者)と名付けよ。
わたしは、もはやイスラエルの家を憐れまず
彼らを決して赦さないからだ。
だが、ユダの家には憐れみをかけ
彼らの神なる主として、わたしは彼らを救う。
弓、剣、戦い、馬、騎兵によって
救うのではない。」
彼女はロ・ルハマを乳離れさせると、また身ごもって、男の子を産んだ。主は言われた。
「その子を
ロ・アンミ(わが民でない者)と名付けよ。
あなたたちはわたしの民ではなく
わたしはあなたたちの神ではないからだ。」
ホセア 1:2-9

(編者註:)しまいには、背信者を許す自分をあかしするために、不倫してる女性をめとれ、とまで神さまは言うんだ。

神の愛による回復

主は再び、わたしに言われた。「行け、夫に愛されていながら姦淫する女を愛せよ。イスラエルの人々が他の神々に顔を向け、その干しぶどうの菓子を愛しても、主がなお彼らを愛されるように。」そこで、わたしは銀十五シェケルと、大麦一ホメルと一レテクを払って、その女を買い取った。わたしは彼女に言った。「お前は淫行をせず、他の男のものとならず、長い間わたしのもとで過ごせ。わたしもまた、お前のもとにとどまる。」イスラエルの人々は長い間、王も高官もなく、いけにえも聖なる柱もなく、エフォドもテラフィムもなく過ごす。その後、イスラエルの人々は帰って来て、彼らの神なる主と王ダビデを求め、終わりの日に、主とその恵みに畏れをもって近づく。
ホセア 3:1-5
わたしはエフライムに対して食い尽くす虫となり
ユダの家には、骨の腐れとなる。
ホセア 5:12
 サマリアは罰せられる。
 その神に背いたからだ。
 住民は剣に倒れ
 幼子は打ち殺され
 妊婦は引き裂かれる。
ホセア 14:1
 ああ、恐るべき日よ
 主の日が近づく。
 全能者による破滅の日が来る。
ヨエル 3:6
 地上の全部族の中からわたしが選んだのは
 お前たちだけだ。
 それゆえ、わたしはお前たちを
 すべての罪のゆえに罰する。
アモス 3:2
 町で角笛が吹き鳴らされたなら
 人々はおののかないだろうか。
 町に災いが起こったなら
 それは主がなされたことではないか。
アモス 3:6
 だから、わたしもお前たちのすべての町で
 歯を清く保たせ
 どの居住地でもパンを欠乏させた。
 しかし、お前たちはわたしに帰らなかったと
 主は言われる。
 また、刈り入れにはまだ三月もあったのに
 わたしはお前たちに雨を拒んだ。
 ある町には雨を降らせ
 ほかの町には雨を降らせなかった。
 ある畑には雨が降ったが
 雨のない畑は枯れてしまった。
 二つ三つの町が水を飲むために
 一つの町によろめいて行ったが
 渇きはいやされなかった。
 しかし、お前たちはわたしに帰らなかったと
 主は言われる。

 わたしはお前たちを黒穂病と赤さび病で撃ち
 お前たちの園とぶどう畑を枯れさせた。
 また、いちじくとオリーブの木は
 いなごが食い荒らした。
 しかし、お前たちはわたしに帰らなかったと
 主は言われる。

 かつて、エジプトを襲った疫病を
 わたしはお前たちに送り
 お前たちのえり抜きの兵士と
 誇りとする軍馬とを剣で殺した。
 わたしは陣営に悪臭を立ち上らせ
 鼻をつかせた。
 しかし、お前たちはわたしに帰らなかったと
 主は言われる。

 かつて、神がソドムとゴモラを覆したように
 わたしはお前たちを覆した。
 お前たちは炎の中から取り出された
     燃えさしのようになった。
 しかし、お前たちはわたしに帰らなかったと
 主は言われる。

 それゆえ、イスラエルよ
 わたしはお前にこのようにする。
 わたしがこのことを行うゆえに
 イスラエルよ
 お前は自分の神と出会う備えをせよ。
アモス 4:6-12
アモスと祭司アマツヤ

ベテルの祭司アマツヤは、イスラエルの王ヤロブアムに人を遣わして言った。「イスラエルの家の真ん中で、アモスがあなたに背きました。この国は彼のすべての言葉に耐えられません。
アモスはこう言っています。
『ヤロブアムは剣で殺される。
イスラエルは、必ず捕らえられて
その土地から連れ去られる。』」
アマツヤはアモスに言った。
「先見者よ、行け。ユダの国へ逃れ、そこで糧を得よ。そこで預言するがよい。だが、ベテルでは二度と預言するな。ここは王の聖所、王国の神殿だから。」アモスは答えてアマツヤに言った。「わたしは預言者ではない。預言者の弟子でもない。わたしは家畜を飼い、いちじく桑を栽培する者だ。
主は家畜の群れを追っているところから、わたしを取り、『行って、わが民イスラエルに預言せよ』と言われた。今、主の言葉を聞け。あなたは、『イスラエルに向かって預言するな、イサクの家に向かってたわごとを言うな』と言う。
 それゆえ、主はこう言われる。
 お前の妻は町の中で遊女となり
 息子、娘らは剣に倒れ
 土地は測り縄で分けられ
 お前は汚れた土地で死ぬ。
 イスラエルは、必ず捕らえられて
 その土地から連れ去られる。」
アモス 7:10-17

(編者註:)オバデヤ書は新共同訳の旧約聖書ではわずかに2ページ。ここに全文引用しようと思えばできないこともないのだけど、意味もなく引用するのは苦痛なのでしないことにする。興味のある方は(ない方も)直接聖書をお読みいただきたい。

ヨナの逃亡

主の言葉がアミタイの子ヨナに臨んだ。
「さあ、大いなる都ニネベに行ってこれに呼びかけよ。彼らの悪はわたしの前に届いている。」しかしヨナは主から逃れようとして出発し、タルシシュに向かった。ヤッファに下ると、折よくタルシシュ行きの船が見つかったので、船賃を払って乗り込み、人々に紛れ込んで主から逃れようと、タルシシュに向かった。
主は大風を海に向かって放たれたので、海は大荒れとなり、船は今にも砕けんばかりとなった。船乗りたちは恐怖に陥り、それぞれ自分の神に助けを求めて叫びをあげ、積み荷を海に投げ捨て、船を少しでも軽くしようとした。しかし、ヨナは船底に降りて横になり、ぐっすりと寝込んでいた。船長はヨナのところに来て言った。
「寝ているとは何事か。さあ、起きてあなたの神を呼べ。神が気づいて助けてくれるかもしれない。」
さて、人々は互いに言った。
「さあ、くじを引こう。誰のせいで、我々にこの災難がふりかかったのか、はっきりさせよう。」
そこで、くじを引くとヨナに当たった。人々は彼に詰め寄って、「さあ、話してくれ。この災難が我々にふりかかったのは、誰のせいか。あなたは何の仕事で行くのか。どこから来たのか。国はどこで、どの民族の出身なのか」と言った。
ヨナは彼らに言った。
「わたしはヘブライ人だ。海と陸とを創造された天の神、主を畏れる者だ。」
人々は非常に恐れ、ヨナに言った。
「なんという事をしたのだ。」
人々はヨナが、主の前から逃げて来たことを知った。彼が白状したからである。
彼らはヨナに言った。「あなたをどうしたら、海が静まるのだろうか。」
海は荒れる一方だった。ヨナは彼らに言った。
「わたしの手足を捕らえて海にほうり込むがよい。そうすれば、海は穏やかになる。わたしのせいで、この大嵐があなたたちを見舞ったことは、わたしが知っている。」
乗組員は船を漕いで陸に戻そうとしたが、できなかった。海がますます荒れて、襲いかかってきたからである。ついに、彼らは主に向かって叫んだ。
「ああ、主よ、この男の命のゆえに、滅ぼさないでください。無実の者を殺したといって責めないでください。主よ、すべてはあなたの御心のままなのですから。」
彼らがヨナの手足を捕らえて海へほうり込むと、荒れ狂っていた海は静まった。人々は大いに主を畏れ、いけにえをささげ、誓いを立てた。
ヨナの救助

さて、主は巨大な魚に命じて、ヨナを呑み込ませられた。ヨナは三日三晩魚の腹の中にいた。ヨナは魚の腹の中から自分の神、主に祈りをささげて、言った。
 苦難の中で、わたしが叫ぶと
     主は答えてくださった。
 陰府の底から、助けを求めると
     わたしの声を聞いてくださった。

 あなたは、わたしを深い海に投げ込まれた。
 潮の流れがわたしを巻き込み
 波また波がわたしの上を越えて行く。
 わたしは思った
 あなたの御前から追放されたのだと。
 生きて再び聖なる神殿を見ることがあろうかと。
 大水がわたしを襲って喉に達する。
 深淵に呑み込まれ、水草が頭に絡みつく。
 わたしは山々の基まで、地の底まで沈み
 地はわたしの上に永久に扉を閉ざす。

 しかし、わが神、主よ
 あなたは命を
     滅びの穴から引き上げてくださった。
 息絶えようとするとき
     わたしは主の御名を唱えた。
 わたしの祈りがあなたに届き
 聖なる神殿に達した。
 偽りの神々に従う者たちが
     忠節を捨て去ろうとも
 わたしは感謝の声をあげ
 いけにえをささげて、誓ったことを果たそう。
 救いは、主にこそある。

主が命じられると、魚はヨナを陸地に吐き出した。
ヨナ 1:1-2:11
 人よ、何が善であり
 主が何をお前に求めておられるかは
 お前に告げられている。
 正義を行い、慈しみを愛し
 へりくだって神と共に歩むこと、これである。
ミカ 6:8
 エフラタのベツレヘムよ
 お前はユダの氏族の中でいと小さき者。
 お前の中から、わたしのために
 イスラエルを治める者が出る。
 彼の出生は古く、永遠の昔にさかのぼる。
ミカ 5:1
 このため、わたしは悲しみの声をあげ
 泣き叫び、裸、はだしで歩き回り
 山犬のように悲しみの声をあげ
 駝鳥のように嘆く。
ミカ 1:8
 災いだ、流血の町は。
 町のすべては偽りに覆われ、略奪に満ち
 人を餌食にすることをやめない。
 鞭の音、車輪の響く音
 突進する馬、跳び駆ける戦車。
 騎兵は突撃し
 剣はきらめき、槍はひらめく。
 倒れる者はおびただしく
 しかばねは山をなし、死体は数えきれない。
 人々は味方の死体につまずく。
ナホム 3:1-3
 流れに面した門は開かれ、宮殿は揺れ動く。
 王妃は引き出され、衣をはがれて連れ去られた。
 侍女たちは鳩のような声で嘆き、胸を打つ。
 ニネベは、建てられたときから
     水を集める池のようであった。
 しかし、水は流れ出して
 「止まれ、止まれ」と言っても
 だれも振り返らない。
 「銀を奪え、金を奪え。」
 その財宝は限りなく
 あらゆる宝物が溢れている。
ナホム 2:6-10
 災いだ
     自分の隣人に怒りの熱を加えた酒を飲ませ
 酔わせて、その裸を見ようとする者は。
 お前は栄光よりも恥を飽きるほど受ける。
 酔え、お前も隠し所を見られる。
 お前のもとに、主の右の手の杯と恥辱が
 お前の栄光の代わりに回ってくる。
(参考・文語訳)
人に酒を飮(のま)せ己の忿怒(いかり)を酌和(くみまじ)へて之を酔(ゑは)せ而(しか)して之が陰所(かくしどころ)を見んとする者は禍(わざわひ)なるかな 汝(なんぢ)は榮譽(ほまれ)に飽(あか)ずして羞辱(はぢ)に飽(あけ)り 汝(なんぢ)もまた飮(のみ)て汝の不割禮(ふかつれい)を露(あら)はせ ヱホバの右の手の杯汝に巡り來(きた)るべし 汝は汚(きた)なき者を吐(はき)て榮耀(ほまれ)を掩(おほ)はん
(参考・欽定訳)
Woe unto him that giveth his neighbour drink, that puttest thy bottle to him, and makest him drunken also, that thou mayest look on their nakedness! Thou art filled with shame for glory: drink thou also, and let thy foreskin be uncovered: the cup of the LORD’S right hand shall be turned unto thee, and shameful spewing shall be on thy glory.
ハバクク 2:15-16
 レバノンに加えられた不法がお前を覆い
 獣も絶えて、お前を恐れさせる。
 お前が人々の血を流し、国中で不法を
 町とそのすべての住民に対して行ったからだ。
ハバクク 2:17
万軍の主はこう言われる。イスラエルがエジプトから上って来る道でアマレクが仕掛けて妨害した行為を、わたしは罰することにした。行け。アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切、滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も、牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」
サムエル記上 15:2-3
主は宥めの香りをかいで、御心に言われた。
「人に対して大地を呪うことは二度とすまい。人が心に思うことは、幼いときから悪いのだ。わたしは、この度したように生き物をことごとく打つことは、二度とすまい。
創世記 8:21
主の怒りの日

 わたしは地の面から
 すべてのものを一掃する、と主は言われる。
 わたしは、人も獣も取り去り
 空の鳥も海の魚も取り去る。
 神に逆らう者をつまずかせ
 人を地の面から絶つ、と主は言われる。
セファニヤ 1:2-3

(編者註:)ここも原著にある引用箇所が抜けている。以下、原著の引用箇所を引用(読み仮名は編者による):

 その日は憤りの日
 苦しみと悩みの日、荒廃と滅亡の日
 闇と暗黒の日、雲と濃霧の日である。
 城壁に囲まれた町、城壁の角の高い塔に向かい
 角笛が鳴り、鬨(とき)の声があがる日である。
 わたしは人々を苦しみに遭わせ
 目が見えない者のように歩かせる。
 彼らが主に対して罪を犯したからだ。
 彼らの血は塵のように
 はらわたは糞(ふん)のようにまき散らされる。
セファニヤ 1:15-17
 金も銀も彼らを救い出すことはできない。
 主の憤りの日に
 地上はくまなく主の熱情の火に焼き尽くされる。
 主は恐るべき破滅を
 地上に住むすべての者に臨ませられる。
セファニヤ 1:18
神殿再建の呼びかけ

ダレイオス王の第二年六月一日に、主の言葉が預言者ハガイを通して、ユダの総督シェアルティエルの子ゼルバベルと大祭司ヨツァダクの子ヨシュアに臨んだ。「万軍の主はこう言われる。この民は、『まだ、主の神殿を再建する時は来ていない』と言っている。」
主の言葉が、預言者ハガイを通して臨んだ。
 「今、お前たちは、この神殿を
 廃虚のままにしておきながら
 自分たちは板ではった家に住んでいてよいのか。
 今、万軍の主はこう言われる。
 お前たちは自分の歩む道に心を留めよ。
 種を多く蒔いても、取り入れは少ない。
 食べても、満足することなく
 飲んでも、酔うことがない。
 衣服を重ねても、温まることなく
 金をかせぐ者がかせいでも
 穴のあいた袋に入れるようなものだ。
 万軍の主はこう言われる。
 お前たちは自分の歩む道に心を留めよ。
 山に登り、木を切り出して、神殿を建てよ。
 わたしはそれを喜び、栄光を受けると
 主は言われる。
 お前たちは多くの収穫を期待したが
 それはわずかであった。
 しかも、お前たちが家へ持ち帰るとき
 わたしは、それを吹き飛ばした。
 それはなぜか、と万軍の主は言われる。
 それは、わたしの神殿が廃虚のままであるのに
 お前たちが、それぞれ自分の家のために
 走り回っているからだ。
 それゆえ、お前たちの上に
 天は露を降らさず
 地は産物を出さなかった。
 わたしが干ばつを呼び寄せたので
 それは、大地と山々と穀物の上に
 新しいぶどう酒とオリーブ油と
 土地が産み出す物の上に
 また人間と家畜と
     すべて人の労苦の上に及んだのだ。」

シャルティエルの子ゼルバベルと、大祭司ヨツァダクの子ヨシュア、および民の残りの者は皆、彼らの神、主が預言者ハガイを遣わされたとき、彼の言葉を通して、彼らの神、主の御声に耳を傾けた。民は主を畏れ敬った。主の使者ハガイは、主の派遣に従い、民に告げて言った。「わたしはあなたたちと共にいる、と主は言われる。」主が、ユダの総督シャルティエルの子ゼルバベルと大祭司ヨツァダクの子ヨシュア、および民の残りの者すべての霊を奮い立たせられたので、彼らは出て行き、彼らの神、万軍の主の神殿を建てる作業に取りかかった。それは六月二十四日のことであった。
ハガイ 1:1-15
主の僕ゼルバベル

 同じ月の二十四日
 主の言葉が再びハガイに臨んだ。
 「ユダの総督ゼルバベルに告げよ。
 わたしは天と地を揺り動かす。
 わたしは国々の王座を倒し
 異邦の国々の力を砕く。
 馬を駆る者もろとも戦車を覆す。
 馬も、馬を駆る者も
     互いに味方の剣にかかって倒れる。
 その日には、と万軍の主は言われる。
 わが僕、シェアルティエルの子ゼルバベルよ
 わたしはあなたを迎え入れる、と主は言われる。
 わたしはあなたをわたしの印章とする。
 わたしがあなたを選んだからだ」と
 万軍の主は言われる。
ハガイ 2:20-23
第六の幻

わたしが再び目を留めて見ると、一つの巻物が飛んでいた。御使いがわたしに、「何を見ているのか」と尋ねたので、わたしは答えた。「巻物が飛んでいるのが見えます。その長さは二十アンマ、幅は十アンマです。」彼はわたしに言った。「これは全地に向かって出て行く呪いである。すべての盗人はその一方の面に記されている呪いに従って一掃される。また偽って誓う者も、他の面の呪いに従って一掃される。」
 わたしがこれを送り出す、と万軍の主は言われる。
 それは盗人の家に
 わが名によって偽りの誓いをする者の家に入り
 その家の中に宿り
 梁も石ももろともに滅ぼし尽くす。
ゼカリヤ 5:1-4
第七の幻

わたしに語りかけた御使いが現れ、わたしに言った。「目を留めて、そこに出て来るものが何であるか、よく見るがよい。」わたしが、「それは何ですか」と尋ねると、彼は、「そこに出て来たのはエファ升である」と答え、「それは全地を見る彼らの目である」と言った。鉛の円盤が取り除かれると、エファ升の中に一人の女が座っていた。彼は、「それは邪悪そのものである」と言って、かの女をエファ升の中に投げ返し、エファ升の口に鉛の重しを置いた。わたしが目を留めて見ると、二人の女が翼に風を受けて出て来た。かの女たちはこうのとりの翼のような翼を持ち、地と天の間でエファ升を運び去ろうとしていた。わたしに語りかけた御使いに、「かの女たちはどこにエファ升を持って行こうとしているのですか」と尋ねると、彼はわたしに答えた。「かの女のため、シンアルの地に神殿を築こうとしているのだ。神殿が整えられると、その地に備えられた場所に置かれるはずだ。」
ゼカリヤ 5:5-11
その日が来る、と万軍の主は言われる。わたしは数々の偶像の名をこの地から取り除く。その名が再び唱えられることはない。また預言者たちをも、汚れた霊をも、わたしはこの地から追い払う。それでもなお預言する者がいれば、彼はその生みの親である父からも母からも、「主の御名において偽りを告げたのだから、お前は生きていてはならない」と言われ、その預言のゆえに生みの親である父と母によって刺し貫かれる。
ゼカリヤ 13:2-3
その日、預言者たちは皆、預言をしても自分の幻のゆえに恥を受け、欺くための毛皮の外套を着るのをやめ、「わたしは預言者ではない、土を耕す者だ。わたしは若いときから土地を所有している」と言う。また、「あなたの胸にあるこの傷はどうしたのか」と問われると、「それは友人の家で受けたものだ」と答えるであろう。
ゼカリヤ 13:4-6
 諸国の民がエルサレムに兵を進めてくれば
 疫病で主はそのすべての者を撃たれる。
 肉は足で立っているうちに腐り
 目は眼窩の中で腐り、舌も口の中で腐る。
ゼカリヤ 14:12
祭司への警告

祭司たちよ、今あなたたちにこの命令が下される。もし、あなたたちがこれを聞かず、心に留めず、わたしの名に栄光を帰さないなら、と万軍の主は言われる。わたしはあなたたちに呪いを送り、祝福を呪いに変える。いや既に呪いに変えてしまった。これを心に留める者があなたたちの間に一人もいなかったからだ。

 見よ、わたしはあなたたちの子孫を脅かし
 あなたたちの顔に汚物を浴びせる。
 それは祭りの犠牲の捨てられたものだ。
 あなたたちは、その上に投げ捨てられる。
マラキ 2:1-3
主は、霊と肉を持つひとつのものを造られたではないか。そのひとつのものが求めるのは、神の民の子孫ではないか。あなたたちは、自分の霊に気をつけるがよい。
あなたの若いときの妻を裏切ってはならない。

 わたしは離婚を憎むと
 イスラエルの神、主は言われる。
 離婚する人は、不法でその上着を覆っていると
 万軍の主は言われる。
 あなたたちは自分の霊に気をつけるがよい。
 あなたたちは裏切ってはならない。
マラキ 2:15-16
 だが、彼の来る日に誰が身を支えうるか。
 彼の現れるとき、誰が耐えうるか。
 彼は精錬する者の火、洗う者の灰汁のようだ。
マラキ 3:2

(編者註:)マラキ書4章は、新共同訳聖書では3章に統合されている。

 見よ、わたしは
 大いなる恐るべき主の日が来る前に
 預言者エリヤをあなたたちに遣わす。
 彼は父の心を子に
 子の心を父に向けさせる。
 わたしが来て、破滅をもって
 この地を撃つことがないように。
マラキ 3:23-24


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