はじめに……という名の御託

はじめに書きますが、私は TEXnician(この世界で熟達した人のことをこう呼びます)というわけではありません。TEX/ LATEXを結構長く使っていますが、あくまで一ユーザーとして、道具として使っているだけです。私はいわゆる理系ですが、数学や物理学のような TEXの使用が推奨される分野の専攻ではなく、他者から TEX/ LATEXの使用を求められることはありませんでした(むしろ共同の執筆作業では疎まれることの方が多かったかも)。

私が学生だった頃にもその兆しはありましたが、もはや TEX/ LATEXは「理系のツール」ではありません。様々な分野の人達がその必要に応じて使っています。そして、それを必要としている人がコンピュータの操作や管理に慣れているとは限りません。その結果「TEX/ LATEXを使いたいんだけど使う為の環境がまず整えられない」という声が、ここ何年か、私の身近でもよく聞かれるようになりました。システム導入の壁になっているところを少しでもスムースにクリアできる一助を、何とか工夫できないか、と私も思うようになってきました。

以前から私は『TeX Live を使おう──主に Linux ユーザのために──』という web ページを作成・公開しています。私が UNIX 系の OS を常用しているので、主に Linux 上での TEX/ LATEXのインストールに役立つように書いているわけですが、世間では圧倒的に Microsoft Windows のユーザが多いわけです。

そこで今回、最大数のユーザがいると思われる Microsoft Windows 上で TEX/ LATEXを使用する環境をどのように整えるかを説明する文書を書きました。せっかくなので、私自身もまず手元の Windows 端末上の TEX/ LATEX環境を削除し、改めてインストールを進めつつ、解説を書いてみました。少しでもお役に立てば幸いです。




2020-05-05