スリーピース

僕はスーツをほとんど着ない。嫌いというわけではないのだけど、僕の交感神経はいつも疲れているので、時々汗の調整のバランスが崩れることがあって、そういうときにタイを締めて襟を閉じていると、ダラダラ汗が出て止まらない、ということになる。やがてはそれに対する予期不安が沁みついてしまうわけで、だから僕はあまりスーツを着ない。無論、仕事ではそこそこちゃんとした格好を要求されることもあるのだが、そういうときにはボタンダウンのシャツに、スーツのパンツっぽいパンツを合わせて誤魔化してしまうことが多いわけだ。

そんな僕の職場にニューカマーがやってきた。スーツを着て来るのだが、何か違和感のようなものを感じて、うーん、何だろうなあ……と少し考えて、彼がベストを着ていたのを思い出したのだった。ああそうか、彼はスリーピース・スーツを着ていたんだっけ。そう言えば、最近あまり見ないような気がする。

本来のスリーピースというのは、ベストも同じ生地で仕立てられていて、しかもベルトを使わずにサスペンダーを着用するのがトラディッショナルなスタイルらしい。ああ、そうそう、思い出した。前の職場の事務方のオッサン……僕が辞めるときに、給与1か月分を返還するように高圧的に要求してきた奴だ……が着てたなあ。そうか、だからあまり良い感情を抱けないのかもしれない。ニューカマーの彼には何の関係もない話なんだが。

春頃にはまたスーツを調達しなければならないかもしれないのだけど、そのときは僕も……いや、やっぱり僕はスリーピースは要らんな。タイムマシンで100年前に行く、とかなら必要かもしれないが、このクール・ビズ / ウォーム・ビズのご時世だしなあ。

2014/01/09(Thu) 13:10:56 | 日記
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T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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