鳩山切腹論

僕は、2010年に入ってからあちこちで公言していた。沖縄問題が原因で、鳩山総理は腹を切る可能性がある、と。これを言うと皆さん「いやそんなことはないでしょう」とか、甚だしきに至っては「民意の反映としての政権交代を邪魔するな」みたいなことまで言われた。

初めに公言しておくけれど、僕は自民党シンパでも、民主党シンパでもない。当然だけど公明党のシンパでもない。ついでに書くと共産党や社民党のシンパでもない。既存政党に関しては限りなく絶望に近い感覚で捉えていたし、それは現在でも変わらない。ではなぜそんな僕が、わざわざ「鳩山切腹論」を口にしていたか、というと、それは当然理由がある。

鳩山氏の「普天間移転は国外、最低でも県外」という主張が知られるようになったとき、僕はどうしても一つ、引っかかることがあった。基地移転を唱える場合、基地跡地に関して何か言及しても良さそうなのに、奇妙な程にそれが鳩山氏の口から出ることがなかったのだ。もし僕が政治家で、鳩山氏と同じことを言うならば、絶対「ここが空けばこうなるんだから」と主張するに決まっている。「夢」が提示されれば、人はそれを求めて動くからだ。

普天間飛行場の跡地は約 4.8 km2。その利用に関しては、「駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化等に関する方針」(平成11年12月28日閣議決定)に沿って設置された「跡地対策準備協議会」「跡地対策協議会」、そして周辺市町村の連絡機関として「跡地関係市町村連絡・調整会議」が立ち上がっている。これに関しては:

http://www.pref.okinawa.jp/kichiatochi/taisei-btm.htm

に会議資料があるので、詳しくはそちらをご参照いただきたいのだが、これらはいわゆる実務者レベルの協議内容で、基地跡地の (1) 現状回復 (2) 埋蔵文化財等の調査 (3) 地主問題等の解決 に関して検討がなされているようだ。これらの資料と、宜野湾市が出している「基地政策部 基地跡地対策課(普天間飛行場に係る取り組みの経緯)」、そして内閣府が出している「普天間飛行場の跡地利用の促進及び円滑化等に係る取組分野ごとの課題と対応の方針についての取りまとめ」に眼を通すと、沖縄県や宜野湾市としては、普天間飛行場跡地には埋蔵文化財があるので、公園化して文化財保護を行いつつ再開発を行いたい、ということのようだ。

ところが、である。これらの会議、どうもこの数年は止まっているようである。これはおそらく、自民党時代には、キャンプシュワブ沖への移転が規定路線として動いていたので、それが走り出してから実際の計画立案等を行おう、ということだったのだろう。そんなところに、民主党連立内閣が成立し、基地関連の計画が凍結されたのと共に、この跡地開発に関する国レベルのアクションもまた止まったのだろう。しかし、民主党連立内閣は、どうやらこの再開発に関する議論を再開することを考えもしなかったようだ。

普天間の移転を既定路線とするためには、跡地の利用に関するビジョンが明確になっている方がいい。どう考えてもそうだろう。実際、跡地開発に関して、市町村・県・国レベルで協議してきた経緯もある。それを踏まえるにせよ、反故にする(民主党は「ゼロベース」という便利な言葉を発明したけれど)にせよ、沖縄の地方自治体を巻き込んで普天間飛行場跡地の開発ビジョンを提唱することは、移転推進のためにはきわめて重要だと言わざるを得ない。しかし、現状として、それは止まったままで、総理からの明確なコメントもない。それはなぜだろうか。

ここで、沖縄の人にとっては耐え難いであろう可能性が浮上してくる。普天間飛行場という牌を、鳩山首相は抱え込んだままで、それを切るか、手の内に入れるのか、未だに明らかにしていない、つまり、「普天間飛行場を移転しない」という可能性を、鳩山首相は否定していない、ということである。今月末に国外、もしくは県外へ移転する、という構想が頓挫した現在、今後の進め方としては、最低でも飛行場はキャンプ・シュワブ沿岸、もしくは沖に移設するというところに落としたいわけだけど、これに関しても自然に影響を与えないというのは無理な話である。結局、辺野古に泣いてもらいましょう、ということで話が進んでいるわけである。しかし、今までの首相の言行に、これは明確に矛盾する。

ここで、最悪のウルトラCの可能性が見えてくる。新たに飛行場を作らなければ、自然を破壊することはない。だから、普天間にそのまま基地を置きっ放しにして、それでは世間が納得しないのを何とかする、というシナリオだ。アメリカも普天間に基地を置いておきたくはない訳で、周辺住民もアメリカ政府も納得しない。それを無理に通すことができるのか……その可能性を考えると、もはや腹を切る位しか手がないわけだ。

普天間問題は何もかも放り出します(これを「ゼロベースからの再検討」と読むらしいけれど)。それでは皆さん納得しないでしょうから、首相の座を辞します。後は皆さんよろしくね……と、こんな可能性があるわけだ。これは、辺野古移転の場合でもあり得る話だ。やっぱり辺野古の海しか飛行場を作れる場所はありませんでした、それでは皆さん納得しないでしょうから、首相の座を辞します。後は皆さんよろしくね……と、こんな感じだ。マニフェストと言質を、首相の座と引換えにひっくり返そう、というわけだ。

もちろん、僕は、これを望んで書いているわけではない。しかし、ひょっとすると、鳩山氏は、普天間問題の自民案への回帰と引換えに、こんな行動に出る可能性もある……ということだけは、ここに書いておくことにしよう。

2010/05/17(Mon) 13:32:26 | 社会・政治

Re:鳩山切腹論

今頃、多分みゆき夫人が水晶玉かなんかを必死にのぞき込んで
お告げが出るのを待ってるんでしょう?
(-_-)

みかん(2010/05/17(Mon) 23:47:11)
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T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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