あーあ、やっちゃったよ

唐突だが、韓国にも右翼と左翼というのがあるのはご存知だろうか。日本で右翼というと、主に勤皇・民族主義を表に出した人々で、左翼というと、安保闘争時代のヘルメット姿の……というような連想をする方が多いと思う。では、韓国では右翼とか左翼とかいうのはどのようになっているのか。

実は、韓国における右翼・左翼の区別は、日本におけるそれよりも簡単かもしれない。日本の場合、新右翼と言われる人々と新左翼と言われる人々が接近したりして、かなりややこしいことになっていたりするのだけど、韓国の場合は、「反共・反北」の強硬派が右翼、「容共・親北」が左翼……と、こういうことになっている。

学生運動や教職員組合が左翼的立場を取る、ということは、韓国でも日本と同じ状況である。しかし、ここで注意しなければならないのは、日本の右翼・左翼の場合と逆に、韓国では左翼の方がより民族主義的である、ということである。「容共・親北」だということは、北との統一、それも主体思想を背景とした民族主義的な統一を志向するということで、この点が日本と大きく異なっている。

韓国で、どうして未だに民族主義的な暴走が起こり易いのか、ということには、実はこの韓国における左翼思想が大きく関わっている。日本に日教組があるように、韓国にも教職員組合である全國ヘ職員勞動組合が存在するのだが、この団体は左翼志向(しかしその内実は異なっているのだが)であって、それが教師裁量の教育において大きな影響力を持っているのである。

韓国の初等教育課程において、日本の「ゆとり教育」における学校裁量時間と同じような、「裁量活動」と呼ばれる時間が取られている。実は、この時間こそが、韓国の初等教育課程における民族教育の時間として活用されている。先にも書いたように、韓国の教職員組合は非常に民族主義的色彩が濃い。だから、あの悪名高き『独島の歌』などは、まさにこの時間に教え込まれるのである。

韓国における「裁量活動」の現状と課題』という論文を見つけたのだけれど、これによると、裁量活動は「教科裁量活動」と「創意的裁量活動」に大別される。前者は通常の教科教育を補充したり、より深い内容を教えたりするもので、後者は「凡教科学習活動」と「自己主導的な学習」に分けられていて、「凡教科学習活動」の中に「統一教育」「韓国文化アイデンティティー教育」という項目がある。先の民族教育は、この範疇として行われているものである。

この「裁量活動」における民族教育は、我々日本人が思うのよりも遥かに熱心に行われている。上にもリンクした Wikipedia のエントリー「全国教職員労働組合」の中にも、

2005年5月、全教組所属の教師が中学生180人をパルチザン追慕祭に動員するという事件を起こし、国内で猛反発を招いた。また、2005年2月から2年近くの間、「北朝鮮の先軍政治の偉大な勝利万歳」と書かれたポスターなどを全教組のホームページに掲載し、北朝鮮の体制を賛美・宣伝しているとして2007年1月18日、国家保安法違反で関係者が逮捕された。
本当かよ? とお思いの方もおられるだろうが、これは事実である。僕も、以前にこの民族教育の時間に描かれた小学生の絵を目にする機会があったのだが、その絵は日本を武力攻撃する韓国を描いたものだった。最近はいささかマシになったという話もあるけれど、韓国における民族教育というのはこれ程までに苛烈なものなのである。

これを知れば、ロンドンオリンピックの男子サッカー3位決定戦における、韓国選手の呆れた振舞いも、なるほどと思えるのである。サポーターが渡したとされる竹島に関するメッセージのプラカードを高々と掲げ、日本と交換したユニフォームをわざと着ずに尻に押し込み、五輪旗を超える大きさの国旗が持ち込み禁止であるにも関わらず、あの巨大な太極旗を持って行進したこと、そして、韓国のメディアがこれらの行為を「英雄的」と報道したことも、なるほど、そういう教育が背景にあるのならば、ありえる話であろう。

勿論、それが許されると言っているわけではない。韓国人だって、このことは問題だと思っているのに違いないのだ。たとえば、ここ十数年、欧米では韓国人の留学生の数が非常に増えているけれど、これだって、親がこのような歪んだ民族教育のバイアスから子供を解き放ちたいと思ってのことだと考えれば、なるほどと理解できなくもないわけである……もっとも、今回問題になっているプラカードを選手に渡したのは、イギリスに留学している27歳の大学院生だというから、結局この束縛からは解放されていないということになるわけだけど。

しかしなあ……あー、やっちゃいましたねえ。かつてオリンピックでは、黒人差別問題を強調する黒い手袋を着用してメダル授与式に参加した選手「ですら」追放されたのである。ましてや、現在進行形のあの竹島の騒ぎをオリンピックに持ち込んだら、どうなるか分かりそうなものなのに。しかも、サッカーと言えば、かつて試合結果がもとで戦争にまで発展したことがある競技である。ちょっと歴史を知っていれば、こういう問題に IOC も FIFA もナーヴァスなのだということが分かりそうなものなのだが……いやはや、教育というのが人間形成においていかに大事なものなのか、僕は今回の件でまたもや深く思い知らされたのであった。。

2012/08/12(Sun) 21:13:43 | 社会・政治
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T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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