糊付け

某所で、何日間か白衣を借りたことがあって、それを返す前に洗濯しておこう、と家に持ち帰った。たまたま週末で、洗濯する前に買い物に行ったとき、そう言えば白衣っていえば糊だよなあ、と、普段は滅多に買わない洗濯糊を買う気になったのである。

大概の方がそうだと思うのだが、僕はワイシャツをアイロンがけするときに、襟や袖口にスプレー式の糊をかけることが多い。しかし、全体に糊をかける、ということは今まで経験がなかった。洗濯糊と聞いて僕がすぐに思い浮かべるのは『花王 キーピング』なのだけど、僕が買い物に行った店には、これの詰め替え用のものしか売っていなかった。他って何があるかなあ……と探すと、『カネヨノール』と、あとは古式ゆかしき澱粉糊……さあ、どちらを買おうか、と少し悩んだのだが、無人のロッカールームの中でカビの生えた白衣の姿が脳裏に浮かんだので、澱粉糊はやめて、カネヨノールを買って帰ってきた。

カネヨノールなどの洗濯糊は PVA(ポリビニルアルコール)が主成分……と言うより、PVA だ、と言っていい位の代物である。ちなみにキーピングの方は、PVA ではなく「酢酸ビニール系ポリマー」だと関係文書に書かれている。要するにポリ酢酸ビニルとかだと思うのだが、これも PVA と縁遠いものではない(PVA 合成の中間体だったはずだ)。ちなみにこれを書く為に色々読んでいて初めて知ったのだが、世界全体での PVA の約 25 % は日本のクラレが生産しているのだそうな。

カネヨノールを規定量……水かぬるま湯 600 ml に対して 80 ml ……希釈した液に、洗濯した白衣を浸し、洗濯機で軽く脱水をかけてから干す。しばらくすると、白衣はゴワゴワになっていたのだが、これに霧吹きで水分を与えながらアイロンをかけると……おお、買ってきたばかりのようなピンピンの白衣になったのだった。へー、これはいいじゃないですか。

洗濯糊の効能というのは見た目だけではない。軽い汚れは糊と一緒に落ち易いので、常に糊をかけておくと生地に汚れが定着しにくいのだ。天然糊の場合はアイロンをかけると糊が変色することがあるけれど、PVA の場合はそれもない。最初のうちは白衣にだけ使うつもりで買ったカネヨノールだったが、他のワイシャツ等にもかけてみようか、という気になってきた。

で、シャツをまとめて洗ったときに、ちょっとカジュアルなものも含めて、そのとき洗った襟付きシャツ全てを糊付けしてみた。生乾きで回収しようと思ったのだが、たまたま風が強くて、気付いたときには皆ゴワゴワになってしまっていたのだが、霧を吹きながらアイロンをかけると……おー、ピンピンじゃん。いい感じである。

ただし、糊付けしたシャツの扱いにはひとつだけ問題があって、このアイロンがけに、思いの外に時間を食うのである。うっかりして変な折り目をつけてしまうとリカバーが面倒だし……ということで、アイロンがけに時間をかけられるときだけ、このカネヨノールを使うようになった。実は、今家に置いてあるカネヨノールはもう2本目だったりする。少々面倒だし、これから汗をかく季節になって、カブれたりしやしないかと思ったりもするのだが、もう少し使い続けてみようかと思っているのだった。

2013/05/09(Thu) 16:30:53 | 日記
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T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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