今年もジャムを煮る

2010年11月7日の日記でも書いたけれど、僕は時々ジャムを作ることがある。季節によっていくつか種類を作るのだけど、この時期には何と言っても林檎である。

林檎のジャムの作り方を知りたい方は2010年11月7日の日記を御参照いただきたい。3つのポイント:

  • 林檎は必ず「紅玉」を使うこと
  • 砂糖は林檎の重さの 30 % を基準として調節すること
  • 皮や種子は一緒に煮ること
さえ守ってもらえば、そうそう失敗することはないと思う。

そう言えば、以前に誰かと林檎のジャムの話になったときに、紅玉じゃなくても作れます! と強硬に主張されたのだが、そりゃあ紅玉でなくたってジャムは作れる。もともと紅玉というのはアメリカ発祥の Jonathan という品種なのだけど、おそらくヨーロッパではこの品種を入手するのは困難だろうと思う。しかし、ヨーロッパでも美味しい林檎のジャムや焼き菓子はちゃんと存在するから、そういうものに使える品種が代わりにあるのだろうと思う。

僕が、林檎のジャムは「紅玉」を絶対に使うべきだ、と書いたのには理由があって、ジャムに用いる林檎の要件:

  • 酸味が強い
  • 香り高い
  • 肉質が細かく、加熱するとさらりと煮溶けてくれる
を満たしてくれる品種が、現在の日本には紅玉以外にほぼ存在しないからだ。生食用の林檎は、糖度を上げることに重点が置かれた結果、甘味以外の味わいや香りが犠牲になっているので、ジャムにした場合は酸味も香りも足りないし、口触りがザクザクした感じになってしまう。

世間の料理や菓子の入門書では、これ見よがしに、レモン果汁やペクチンなどを足したレシピが書かれていることがあるけれど、そもそも酸味は林檎それ自体に十分にあるはずのものだし、ペクチンは林檎の皮や種子に十分過ぎる位入っている。そういう林檎があれば、そもそも小細工など何もいらない筈なのだ。

しかし、昨今の状況を鑑みるに、この林檎のジャムだって、いつまでもできるのかどうか判然としない。紅玉を店頭で見かける機会はどんどん少なくなっていくし、その価格も決して安いとはいえない。今煮ているジャムに使った林檎は、1個140円もした……これも決して相場の中で高いとは言えないのが、今の状況である。

2011/10/19(Wed) 18:05:07 | 日記
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Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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