トンデモ系の餌食になってしまう政権与党って

訪韓した高嶋康豪博士「微生物で放射能汚染された土壌を浄化」

「福島原子力発電所事故で放射能に汚染された水を微生物で浄化してから一緒に飲んでみましょう」。

日本の高嶋開発工学研究所の高嶋康豪博士(60)が4日に訪韓し、国立果川(クァチョン)科学館の李祥羲(イ・サンヒ)館長、韓国科学技術団体総連合会の朴相大(パク・サンデ)会長と韓日共同研究を議論しながら出た言葉だ。高嶋博士は李館長が福島原発事故後、日本の菅直人首相に手紙を送り、微生物で放射能汚染物質を浄化する技術を持つ科学者だと推薦した人だ。

高嶋博士はこの日、「李館長の手紙を受け取った日本政府が、福島原発周辺浄化のため実験を行うよう要請してきた」と明らかにした。これに伴い福島原発周辺3カ所から土と水を採取し実験に着手した。結果は今月末に出るという。

高嶋博士と李館長は放射性物質に汚染された土壌と水に関する韓日共同研究を本格的に推進するため専門家によるチームを構成することにした。これに先立ち李館長は高嶋博士に4000万ウォンの研究費を東日本大震災への寄付形態で支援することにした。

(中央日報 - 2011.04.07 10:16:40、強調部は Thomas による)

韓国の科学館館長、菅首相に微生物による放射性物質浄化を推奨

福島第一原子力発電所をめぐる問題が半月以上続き、日本国内と海外の専門家らが放射性物質漏出を防ぐための多様なアイデアを出している。

国立果川(クァチョン)科学館の李祥羲(イ・サンヒ)館長(73)もその1人だ。李館長は22日、ソウルの駐韓日本大使館を通じ菅直人首相に手紙を送った。「微生物を利用して福島第一原発の放射性物質を浄化させよう」という内容だった。日本の高嶋開発工学総合研究所の高嶋康豪博士が開発した複合発酵法(EMBC−FT)を推薦した。28日に李館長と電話インタビューした。

――高嶋博士との縁は。

「国会議員時代に選挙区が釜山(プサン)だった。洛東江(ナクトンガン)近隣の染色工場の汚水廃水処理問題に関心が多かった。高嶋博士が微生物を利用して産業廃棄物を分解処理する方法を開発したという話しを聞き日本に訪ねて行き初めて会った。それから交流を継続してきた。高嶋博士を韓国に招き国会などで講演するようあっせんすることもした」

――微生物で放射性物質も分解できるのか。

「高嶋博士が2001年に台湾原子能委員会核能研究所で発表した実験結果によると、低レベル放射性廃棄物に含まれたセシウムが40%以上消滅した。当時現場を訪問し台湾の専門家とともに高嶋博士が浄化させた水を直接飲んでみたりもした」

――福島原発でははるかに高い水準の放射性物質が出てきている。

「理論的には高レベル放射性物質も処理が可能だ。低レベル廃棄物を対象にした実験結果しかないのは高嶋博士が個人レベルで研究をしてきたためだ。高レベル放射性物質を扱う機会を得られなかったのだ。日本政府が支援をするならば良い成果を出せると思う。この機会に高嶋博士の創造的方法を果敢に適用してみる必要があると考える」

――研究費支援も検討中だと聞いた。

「果川科学館で日本災害寄付として1000万ウォンを集めた。この資金を高嶋博士のセシウム除去技術研究費として支援する予定だ。大韓弁理士会の寄付金(2000万〜3000万ウォン予想)も支援するつもりだ。韓国科学技術団体総連合会も一部金額を支援すると決めた」

李館長は薬学博士出身だ。科学技術処長官と国会議員(4選)を経て現在は果川科学館長兼大韓弁理士会長として在職中だ。

(中央日報 - 2011.03.29 10:44:22)

僕がこのニュースを読んで、「ん?」となったのは言うまでもない。断言するけれど、微生物で放射性物質を浄化する、なんていうことは原理的に不可能だ。たとえば、セシウムなどの特定の元素を選択的、かつ大量に吸収する微生物がいて、そいつに吸収させておいて後から漉し取るようなことでもできるのならば話は別だけど、分解する、など出鱈目にも程がある話である。

で、この話の主人公であるところの高嶋康豪なる人物の名でググると、以下のリンク先が引っかかってくる。

http://degreemill.exblog.jp/10759547/

ちょうど一年前に、排水浄化に絡んだ詐欺で逮捕されているのみならず、この人物が名乗っている「環境微生物学博士」なる称号も、いわゆるディプロマミルによるものであることが書かれている。

まあ、この記述を全面的に信頼するかどうかは別として、一応学位を持っている人間の端くれとして言わせていただくと、この称号に関してはおかしな点がふたつある。ひとつは、学位というのは、もし名乗るならば、それをどこで授与されたのかを書くべきものであるということ。学位の信頼度(書き添えておくけれど、これは研究者としての一個人の信頼度とイコールではないので念の為)はそれを授けた団体のそれではかられるからだ。もうひとつは、こんなコチャコチャした肩書の学位を、特に海外の機関は出さないということ。西洋の文化においては、知性はあまねく発揮されるべきもので、だから自然科学や工学の畑の人間であっても、貰う学位は Philosophiae Doctor なのだ。どうせ名乗るなら、そういう観点から自然に見えるものにしておけばいいものを、馬鹿は所詮浅い己の見識をまず満足させようとするから、こうやってボロを出すのである。

このニュースは、日本にしてみたら実に憂慮すべきものである。なにせ、今回の災害に乗じて、トンデモ系の研究のためと称して、災害義援金扱いの金を日本円にして320万円程貰うわけだから、これは一種の義援金詐欺と言っていいだろう。韓国の国民がこの内情を知ったらどう思うか。日本人は国難を食いものにして金を詐取するのか、と思われても仕方あるまい。

そして、一番の馬鹿は、そんな奴に軽々に引っかかって試料を送らせるよう手配した現政権であろう(ただし、中央日報の報道が正しければ、の話だが)。トンデモ系に引っかかったのだとしたら、こんなお粗末な話はないではないか。

約70%が損傷

1号機、燃料集合体の7割が損傷と推定

東京電力は6日、福島第一原発1〜3号機の格納容器内の放射線計測値を正式に発表した。

1号機と3号機では、核燃料が一部露出した3月14日朝には、放射線量が、通常運転時の10万倍に達する毎時167シーベルトまで上昇していた。

このデータを基に、燃料に小さな穴や亀裂が生じた割合を計算すると、1号機では燃料集合体400体の約70%が損傷していると推定された。2号機は同548体の約30%、3号機は同548体の約25%が損傷したとみられる。

放射線計測装置は、事故時の燃料損傷を監視するために常設されている。被災後、計測できなかったが、復旧作業に伴い、14日以降のデータが明らかになった。1、3号機より事故の進行が遅かった2号機は、14日朝は放射線量も通常の毎時0・001シーベルトにとどまっていたが、燃料が露出した15日朝には62・7シーベルトに上昇。

(2011年4月6日13時59分 読売新聞)

考え得る事態の中で、最悪とは言わないが限りなくそれに近い結果である。まあまず、なぜこの内容が今日まで発表されなかったのか、ということが問題なのだけど、あの東電にあの内閣だから、もう今更驚くような話ではない。呆れて開いた口が塞がらない気はするけれど。

それよりも、これだけの割合の燃料集合体が破損しているとなると、圧力容器や格納容器の健全性には大きな疑いを持つべきだろう。まあこの話も前から出ていたわけだけど、つくづくお話にならない事態である。

この話を少し前に知っていたであろう官邸は何をしていたか?被曝線量の上限値を引き上げる、などという話をしていたのである。そういう問題じゃないだろう。あー、僕は一応立場的に少しは原子炉に関して、あるいはああいうシステム全体に関して目が利くわけで、だから少しは建設的というか、インテレクチュアルな話をするようにしたいのだ。したいけど、この体たらくを目の前にして「馬鹿」以外の言葉が、もう出てきそうにない。いやはや、本当に、呆れて開いた口が塞がらないのだ。

頭がカタくなっている?

ちょっと web ブラウズしていたときに、中学入試の数学問題をまとめたサイトに行き着いた。なんだかなあ、こんなん小学生に出す教育的意味って何よ、とか思いながら見ていて、ふと目にした問題がこれであった:http://www.sansuu.net/challenge/challengeq/challenge065q.htm

え、これって小学校までの算数でどう解くんだ?としばし考え込んだのだが、おいおい、分からないよ!えー?どうやって解くのこれ?と、昨日からテンパっている。困ったことである。

こんな問題も解けんのか、とか言われそうなので補足しておくけれど、数列と漸化式を使えばそりゃ解けるんだよ……一応解いたのを PDF にしておいたのにリンクしておくけれど、まあさすがにこんな風に解けないようでは肩書が泣くというものである。

うーん、それにしても、小学生にどう解かせるのか……まあトリッキーなことをさせるのは想像に難くないのだけどなあ。まだ「小学生向けの正解」が思いつかないままなのである。

……などと blog に書いた後も、うーん……と悩んでいたのだが、ああ、こうすれば小学生でも答えられるかもしれない、というものに思い至ったので、解いたのを PDF にしておいたのにリンクしておく。しかしなあ……こんなの、時間制限下で小学生にやらせても教育的意味なんかないって。この中で使っている 1 + 2 + 3 + ……を計算するやり方は、あのカール・フリードリヒ・ガウスがギムナジウム時代、教師に1から100まで足し合わせる課題を出されたときに使ったという代物である。こんなものが時間制限下に出てくる小学生は、仕込まれていないのだとしたら大した才能の持ち主だろうけれど、僕にはどう考えても、猿回しの猿よろしく細かく細かく仕込まれた猿小学生の姿しか想像できないんだけど。

焼け石に水

福島第一原発の冷却に、ヘリでホウ酸水を投下するということが真剣に討議されているのだ、という。メディアでも「切り札」と書いている。いや、でも、ちょっと待ってもらえませんかね?

そもそもヘリにどれ位の重さのものが積めるのか、皆さんご存知なのだろうか?たとえば自衛隊が持っているヘリで最も大型のもの、というと、おそらく CH-47 チヌークだと思うけれど、資料を見てみると、CH-47D の最大積載量は 8 t を少し切る位である。8 t というと、さぞたくさん積めるかのように思われそうだけど、体積にしたらたかだか 8 m3 に過ぎない。

しかも、航空機からの投入、というのは、投入量の全てが有効に炉内、あるいは容器内に入るわけではない。仮に 100 回投入を行ったって、効率 10 %(これだって大甘の予測であるが)で 80 t である。これが有効な方策だと、本気で政府は考えているのだろうか?

これだったら、発電機と燃料を空輸する、あるいはポンプを空輸する方が余程現実的である。何かやれば努力しているかのように見えるかもしれないし、おそらく政府もそれを期待しているのかもしれないけれど、本当に必要なのは有効な対処を行うことであるし、時間もチャンスも限定されているならば、それが最大効率で機能するように考えるのが、政府のお偉方の仕事なのである。それをもし放棄して、大衆に頑張っているように見えることを重視しているのだとすれば、「そんな馬鹿はさっさと死んでくれ」という話である。

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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